・ ページ43
「あ、それとね…私、マークが試合してる所を直接見たのは今回が初めてだったけど、すごくカッコよかった！」
「ほ、本当か？」
「うんっ。特にグランフェンリルとかもう…」
試合を見ている時からずっと言おうと思っていた。
いくらライバル同士でも、好きな人の活躍はどうしたってカッコいい。
試合中露わにできなかった分、こうして彼に伝えられてスッキリした。
「そんなに褒められるとさすがに照れるな…」
「ふふ、まだまだあるけど…どうする？」
「今日はこのくらいで大丈夫だ…っ」
顔が赤いのを隠すようにそっぽを向いてしまう。
この夕日が照らす中でここまで顔が赤いとなると、明らかに夕日からくる赤みだけではないのはすぐに分かる。
照れている彼を愛おしく思うが故につい笑ってしまうんだ。
「こら…笑い過ぎだ」
笑い続ける私を彼は片腕で引き寄せると、腰に手を回して額同士をくっつけた。
突然の至近距離に今度は私の顔が紅潮していく。
「ふ…やっぱり顔が赤くなるのはAの方が似合うな」
「もっもう、それどういう意味よ…」
するとマークは少しだけ眉を下げて言う。
「…どんな結果になっても受け止めるって言ったのに、実際に負けるとやはり想像以上にショックなものだな。さっきはカッコ悪いところを見せた…」
「マーク…」
試合終了直後の彼を思い出す。
膝を抱えて座り込む彼の姿は、正直見ていて胸が痛かった。
でも、こんな事言ったら勝った側が何を言ってるんだって…そう思われてしまうかもしれない。
だから何も言えないのだけれど…
「だが、まだ完全に負けが決まった訳じゃない。俺達も決勝へ進める希望はまだ残っている」
「…うん、そうだね。お互いに最後まで諦めないようにしなくちゃ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月20日 7時
