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一之瀬君と別れてから私は急ぎ足で観客席へと向かった。
一瞬眩しい夕日に目を細めるけれど、すぐにその目が開かれる。
「マーク！」
観客席の通路にある手すりに体を預けているマークの姿。
私が名前を呼べば、彼はすぐにこちらへと顔を向けてくれた。
「A。来てくれたんだな」
「ちょうど私もマークを探してて…そしたらさっき一之瀬君に会って、貴方がここにいる事を教えてくれたの」
「そうか、一哉が…… A、こっちに来てくれないか」
手招きされて彼の隣に並ぶ。
私達以外誰も居ない観客席は不自然なほど静まり返っていて、昼間の歓声が嘘のようだ。
オレンジ色の夕日だけが私達を照らしていた。
「改めて…勝利おめでとう。良い試合だったよ」
「ありがとう。みんな、本当によく頑張ったよ」
イナズマジャパンもユニコーンも…全力で最後まで戦っていた。
追いついて追い越されて、また追いついて。
今思い返してみても胸が熱くなるくらい…本当に熱い戦いだった。
「…試合が終わった後、一哉から聞いたんだ。あいつが抱えている問題を…そんな中、全力で試合に臨んだあいつには頭が上がらないよ」
一之瀬君、ユニコーンのみんなにも話したんだね。
黙っていた罪悪感とか色々あると思うけど…さっき会った彼の様子からして、みんなちゃんと受け入れてくれたんだろう。
「次の試合に一哉はいないが…彼の分も俺達が全力で戦うつもりだ」
「その思いはきっと一之瀬君にも伝わってるよ」
こんなにもたくさんの人に思われてる一之瀬君だもの。
それが分からない彼じゃないのは、マークや他のみんなだって分かってるはず。
その証拠にマークは私の言葉に頷いてくれたんだ。
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月20日 7時
