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「なあ、Aはどうしてこんな時間にアメリカエリアにいたんだ？」
「えっと…今日は練習がなかったから、色んなエリアを見て回ってたの。そしたらいつの間にかこんな時間になってて…さっきまで仲間の子達と一緒だったんだけど、逸れちゃったみたいで…」
話してて恥ずかしくなってきた。
いい歳して周りが見えなくなるくらい楽しんでたなんて…
「へぇ、それでか。確かに自分のエリア以外を観光するのは楽しいだろうな。気持ちは分かるよ」
「あはは…でも、子供みたいだよね。こんな…」
「そうか？可愛いと思うけどな」
いきなり可愛いと言われたせいで顔に熱が一気に集まった。
何の恥ずかしげもなくサラッと言うものだから、一瞬流しそうになったよ…
外国人の男性って、やっぱりこういうのが普通なのかな……？
それからしばらくすると、日本エリアに戻ってきて宿が見えた。
「あ、ここまでで大丈夫だよ。改めて本当にありがとうございました」
「ああ、いいんだ。今度はくれぐれも気を付けるんだぞ」
「うん、気を付けます…！」
じゃあ、と言って片手を振りながら去っていくマークの後ろ姿を見送る。
その姿が見えなくなるまで、ずっと目で追っていたんだ。
「ああっ、Aちゃん！どこ行ってたの！？」
宿から秋ちゃんが慌てたようにパタパタと駆け寄って来た。
その顔は心配の色で満ちているのが一目で分かる。
う…申し訳なさがより一層込み上げてくるよ…
「あっ秋ちゃん…！ごめんね、ちょっと道に迷っちゃったみたいで…」
「もう、心配したんだから！携帯も繋がらないし…」
「携帯？あ…」
彼女の口から携帯という言葉を聞いて思い出した。
ポケットからそれを取り出して開けば、画面は真っ暗なまま。
「充電切れてたみたい…」
「はぁ…そんな事だろうと思った。でも、無事で本当に良かったよ。みんなも心配してたから、早く顔見せてあげて」
「うん、そうだね」
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月20日 7時
