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そして私も夕ご飯の準備に取り掛かろうと厨房へ向かおうとした。
「？電話だ…」
ポケットの中で振動を感じて、その振動の元である携帯を取り出す。
着信を知らせるメロディが鳴る中、私は画面を開いて名前を確認した。
「マークからだ…！はい、もしもし」
相手はさっきまでテレビで見ていたマーク。
画面に彼の名前が表示されるのを見ると、毎回心拍数が上がるのを感じる。
恋の力ってすごい。
『A、俺だ。今大丈夫か？』
「うん、大丈夫だよ」
『そうか。良かった。あのさ…お前さえよければ、今から会えないか？』
突然のお誘いにまた心臓が嬉しそうに脈打つ。
「え、今から？」
『ああ。実はさ…もう来てるんだ。イナズマジャパンの宿の前に』
「！？」
衝撃的な言葉に思わず窓の外に視線を移す。
…といっても、この部屋からはグラウンドしか見えないから、練習してるみんなの姿が確認出来ただけだけど。
「ま、待ってて！今行くから…！」
それだけ伝えると一旦通話を切る。
一目散に宿の出入り口に向かおうとしたけれど、そこで夕ご飯の準備の事を思い出した。
そうだ…これから準備しなきゃいけないんだった…！
でも、マークはもう来てるって言うし…
…せめて少しだけ会ってきてもいいか聞いて来よう。
私は出入り口から回れ右して、既に夕ご飯の準備に取り掛かる秋ちゃん達に声を掛けた。
「あ、あの…ちょっとよろしいでしょうか…？」
「なーに？そんな畏まって」
「どうしたんですか？」
私は素直に彼が会いに来ているから、少しだけ会って来てもいいかと聞いてみた。
正直、罪悪感はかなりある。
彼女達が準備してくれている間に、自分は恋人に会おうとしているのだから。
「もうすぐそこまで来てるって事？それなら早く行ってあげないと！」
「私達の事は気にしないでください！ちょっとだけと言わず、思う存分楽しんできてくださいね♪」
「準備は私達に任せてください。あまり会う機会もないでしょうから、是非会って来て欲しいです」
やっぱり彼女達は優しかった。
そういえば…この手の話となれば食い付きがすごかったから、こんなにも笑顔で送り出してくれるのかも…
何はともあれ、こうして快諾してくれる事に感謝する事は変わりない。
「ありがとう…！すぐ戻るからっ」
「ふふ、いってらっしゃい〜」
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月20日 7時
