第五章 人を想う心 ページ30
“フットボールフロンティアインターナショナルダイジェスト！昨日行われたイギリス代表ナイツオブクイーン対アメリカ代表ユニコーンの結果をお伝えします”
夕方の18時頃、私達はミーティングルームのテレビに注目していた。
流れているのはユニコーンとナイツオブクイーンの試合結果。
かつて一緒に戦った仲間である土門君と一之瀬君が映ると、みんな彼らの活躍を嬉しそうに見ている。
もちろん、私も。
それともう一つ、私にとって嬉しい場面が。
「あ…」
ユニコーンのキャプテン…マークが活躍する場面もしっかりと流れてきた。
ディラン君との見事な連携プレーで相手チームを攻めていく。
やっぱりサッカーをしている彼は本当にカッコいい。
ただ…お互い違うチームでライバル同士という事だけが、少し複雑だけれど……
それでも、こうして彼の活躍を見る事が出来るのは素直に嬉しい。
「よしっ！夕飯前にもうひと練習だ！」
円堂君の掛け声でみんなグラウンドへと移動していく。
「みんな、すごい気合い」
「一之瀬君達と戦うの、すごく楽しみにしてたからね」
その時、テレビを見てどこか不安気な顔の秋ちゃんに気付いた。
「秋ちゃん？」
「…え？なっなに？」
「大丈夫…？どこか具合でも悪い？」
私がそう尋ねれば、彼女は慌てたように首を横に振る。
「うっううん、そんな事ないよ！さ、私達も夕ご飯の準備しよっか」
「秋ちゃん…」
笑ってくれたけど、違う。
いつもの元気な笑顔じゃないのはすぐに分かった。
何かあったのかな…
いつも明るい秋ちゃんだからこそ、少しでも何か不安そうだと心配になってしまう。
けど、今はまだ…何も聞かないでおこう。
秋ちゃんが話してくれる気になるのを待った方がいいよね。
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月20日 7時
