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「あ…この後、練習だろ？送ってくよ」
「え、いいよ。マークだって練習あるだろうし…」
「この前みたいにならないか心配なんだ。それに…少しでも長くお前と居たい」
「マーク…」
そう言われたらもうお言葉に甘えるしかない。
そして私に手を差し出してくれて、その手を取ると日本エリアまでの道を歩き出す。
彼の歩幅が私の歩幅に合わせてくれているのがすぐに分かった。
こういうさりげない優しさがまた私を嬉しくさせてるの…マークは気付いてるかな？
日本エリアに着くまで色々な話をした。
小さい頃の話だったり、サッカーの話だったり…
まだお互い知れていない部分を埋めていくように、たくさん話をしたんだ。
でも日本とアメリカエリアはそんなに離れてはいないから、あっという間にお別れの時間が来てしまう。
「送ってくれてありがとう」
「ああ。じゃあ、また連絡するよ。仕事、頑張れよ」
「うん。マークも頑張って！」
繋いでいた手を名残惜しさを感じながらも離す。
手を振り合ってからマークはアメリカエリアへと戻って行った。
まだ心臓がドキドキしてる…
さっきまで繋いでいた手にも、彼の温もりが残ってる。
「あ、A先輩！探しましたよ〜！一体何処へ行ってたんですか？」
そこへ春奈ちゃんが私を見つけて駆け寄って来た。
「春奈ちゃん…！ごめんね、ちょっと用があって…」
「そうなんですか？あれ…顔が赤いですけど、大丈夫ですか？」
彼女に指摘されて思わず顔に両手で触れる。
確かに熱い…
頭の中でさっきまでの出来事を思い出していたからだろう。
「あー…今日はお天気がいいから、暑くなっちゃったのかな！そっそれより練習、もう始まってるよね？」
「え？はい、もう皆さんグラウンドで走ってます」
「そうだよね…！私もすぐ行くね！」
これ以上今の私を見られたくなくて、慌ててグラウンドの方へ走っていく。
まだまだこの胸の高鳴りが治ることはないだろう。
今日はとっても良い日になりそうだな…
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月20日 7時
