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「みんなお待たせ〜」
他のメンバーの待つ一階に降りていけば、もうタキシードに身を包んだ彼らが一斉にこちらを見た。
「うわあ〜…」
「すっごく綺麗でやんす！！」
彼らの顔を見る限りどうやら好感触なよう。
それだけでやっと緊張が少し解れていく気がした。
「うんうん、思ったより似合ってるじゃねぇか！」
「「「え？思ったより？」」」
綱海君の言葉に秋ちゃん、春奈ちゃん、冬花ちゃんがジトっとした目で彼を睨む。
「あ、いや！つい思った事口に出ちまってよ…！あははは！」
「フォローになってないぞ…」
そのやりとりに思わず笑いが込み上げてきてしまう。
ふふ…相変わらずだなぁ。
「ねえ、Aちゃん。今夜のパーティー、僕がエスコートしてもいいかな？」
「え…ヒロト君？」
突然私の元まで来て手を取る彼にポカンとする。
「おい、抜け駆けはよせ。ヒロト」
「そっそうですよ！俺だってAさんをエスコートしたいんですから…！」
いつの間にかあの夜に私を探しに駆け回ってくれていたメンバーが集まってきていた。
険悪なムードが漂い始め、ますますどうすればいいのか分からない。
「あれ？円堂君は？」
そこへ秋ちゃんの質問が問われ、みんな辺りを見渡しだす。
言われてみれば確かに円堂君だけがこの場に居なかった。
「そういえば居ないでやんす」
「あ…もしかして！」
秋ちゃんには心当たりがあるのか、彼を探しに行こうと宿を出ようとする。
円堂君の事だから…彼の居る場所は大体見当がつく。
そんな彼女を私も慌てて追い掛けた。
「秋ちゃん、私も行くよ」
「本当？じゃあ行きましょう！」
二人してドレスの裾を持ちながら外へ飛び出す。
まさかこんな格好で外を走る事になるなんて…
少し恥ずかしいけど、この状況をどこか楽しんでる自分も確かにいた。
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月20日 7時
