僕らは出来ない

出発進行 ページ12

「よし、んじゃあマップを見て進んで行こうか。」

ヤイチはヒトハに車椅子を押してもらいながら全員に言った。仮ではあるが作戦参謀の彼女の頭はこの中でもかなり良かった。


「っんでお前に命令されなきゃ…」

「ロミ…落ち着こう…？」

ロミは面倒くさいことに、年上に見える【失敗作】にガチギレをする。
コヨミはそれを毎回横目で見ながら、馬鹿なんじゃないかと心の中で思っていたりする。


「もー！ごちゃごちゃ言ってんのかミコトには分かんないけど、大体通じるってこと忘れないでよね！！ちゃっちゃっと歩こうよロミ！」

「……くっ、分かった…悪い、ミコト」

だが、妹に対しては滅法弱い。これほどかと言うくらい弱い。
ミコトにも伝わるようにぺこりと頭を下げると素直に歩き始めた。


「……？」

直線だけど、何処に隠れ道があるの？


コヨミは目線でレナに問いかけた。
彼女達には、本当に、心にストンと落ちたように感じるのだ。たとえコミュニケーションが取れなくても。



「あー…俺は正直良く分かってないんだ…ムク、どっち行くんだっけ？」

「NO.77 ナナの部屋の向こうに、用途がはっきりしていない扉が設置されているので、そこに行きましょう。確信はありませんが」


「…」

ありがとうという意味を込めて、コヨミは両手を合わせた。




「僕たち、武器無いけど大丈夫ー？」

「いやいや、そんな必要な場面ある？」

「一応、第三棟には、凶暴な【失敗作】はいないはずですが…」

「おい待てムク、なんで今アタシを見たんだ凶暴じゃないだろ」

「レナに対してすんごい敵意向けてんの気づいてないのか？」



「まぁとりあえず武器はあった方がいいに決まってます。レナとロミは元々戦闘向きに作られているそうなので問題はありませんが」

「じゃあ、道歩いてる時に見つけたらそれぞれ自分に合った武器を持つことにするか」

「さんせーい！！僕カッコいいやつがいいなぁ！」

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