【アイナナ】TARGET!!!2【九条天】

TARGET91 ページ43

看護婦さんに車椅子を押してもらいながら
自分の病室へと戻る



長い長い検査が終わる頃にはもう夕方になっていて
大きな窓のある病室の中は夕日の中に照らされすっかりオレンジ色


どうやら私は10日ほど目を覚まさなかったらしい



先生曰く
「意識を取り戻したのは奇跡に等しい」
「脳に異常なし、傷口の完治を待つのと念のため様子見で少しだけ入院しましょう」との事だ




あれだけの衝撃を受けたのに...こいつゴリラか？
と言わんばかりの先生の表情を私は忘れない



看護婦さんの手を借りてベッドへと寝かされた後、
「何かあったらコールで呼んでください」と優しい微笑みを浮かべる彼女にお礼を言い後ろ姿を見送った




スッと息を吸うと肺が空気に入る感覚

胸に手を当てると脈を打つ振動が手のひらに伝わる

本当に私.....






「....ゴリラかよ....(....生きてる....)」





おっと


完璧とは言えないが平気の状態でいる自分に驚きすぎて思ってることと口に出したいことが逆になってしまった



それにしても魂と体が分離する体験をした後だからか自分の体が愛おしく感じる


....退院したらハーゲンダッツいっぱい食べようね、私の体.....




そんな風に夕日をバックに感傷的になっていると



バタバタという複数の足音と「病院内では走らないでください！！」という看護婦さんの声が聞こえてきた


その足跡は私の部屋の前で止まると
同時にバンッと勢いよくドアが開かれる




陸「Aさん！！！....うっ...よかった！！！本当に良かったです！！！！！」


環「Aーーーーー！！！！うあーーー！！！良かったあーーーー！！！いおりん！！！A！！！起きてる！！！！」


一織「七瀬さん、四葉さんあまり大声を出して泣かないで...っていうか二人とも、目覚めたばかりの女性にそんな勢いよく抱きつかないで下さい！！！！！」




びっくり箱のようにかわいい後輩たちが飛び出してきた

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