【実/況/者】ぱられる2【短編集】 (ページ12)

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自覚と無自覚と本音@ABU ページ12

あぁ。胸が痛い。すごく痛い。でもこれはきっと、持病のせい。悲しんでなんかいない。あんなやつなんか、すきじゃない。絶対に。

それは日差しがとても強かった日、私は一人で歩いていた。暑くて、暑くて死にそうだ。

『...最悪。』

ポツリと漏れた言葉、足元がおぼつかない。学校、あと少しで着きそうなのに。

あと少しそう思った時、ぐにゃりと視界が曲がった。体から力が抜けていくのがわかった。バタリ、体に鈍い痛みが広がっていく。そこで私の意識は途絶えた。

ー...。

『ん、』

目が覚めると見た時のある部屋。
ここは...。

『保健室....?』

誰かが運んでくれたのだろう。御丁寧にベストまで脱がしてくれてた。

起き上がると人影が見えた。私を運んでくれた人だろうか?勇気を振り絞り声をかけてみる。

『あの...。』

ガタンッ、椅子が揺れる音。近づく足音。開かれるカーテン。

「目、覚めた?大丈夫?」

金髪の男性がそう問いかけてきた。私を運んでくれたのはこの人なんだろうか。

『私は大丈夫です、あの、貴方がここに連れてきてくれたのですか?』

「うん。目の前でばったり倒れたからね。すごくびっくりしたよ。」

『あ、ありがとうございます。』

「どういたしまして。」

男性と二人きりは流石に気まずい。先生もいないし。ん?先生がいないということはずっとこの人はここで待っていてくれたのか?...すごい罪悪感がやばい。

『あ、あの。もしかして授業も行かずにここにいたんですか...?』

「ん?そうだね。」

やっぱり。私なんかの為にずっといなくても良かったのに、持病があるから倒れたって当然なのに。

『なんかすいません。』

「え?」

『私体弱くてよく倒れるんです。』

「そうなんだ。体、弱いんだ。」

『休めばすぐ良くなるんで、もう大丈夫ですよ。...ごめんなさい。』

「謝らなくていいよ。体が弱いなら助けるのは普通でしょ?それに、」

そう言うと私に顔を近づけ、押し倒してきた。

「こんな可愛い子ならなおさら助けないとね。」

『...っ!!』

「イケメンはどんな子でも助けないとイケメンじゃないからね。」

なんだ、こいつ!?ただのナルシストやろうか!?
助けたことには感謝しているがこういうことやられるとすごく恥ずかしい。

「すごく顔真っ赤、こういうことされたことないの?」

『やめっ...離してよっ!』

「...女の子にそう言われたの初めてかもしれない。」

男性はそう言った。