【実/況/者】ぱられる2【短編集】

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雪@eoh ページ1

…もしもし

真っ白な雪がしんしんと降り積もる中、呆然と立ち尽くしながら電話に出る。
大事な幼馴染みであるeoh.eoh(通称えお)からの電話。
簡単に言えば、友達以上恋人未満の関係である。

eあっ、A？今どこ？
…駅前。寒い。

今の私は、真冬だというのにマフラーもせず、手袋もせず、という、
風邪をひいてもおかしくはない格好だった。
こんなことなら、マフラーとかしてこればよかったと後悔しつつ、声に耳を傾ける。

eえ、なんで。風邪ひいちゃうでしょ？
別にいいよ。どーせ、えおが看病してくれるでしょ？
eえ

まぁね。という言葉を期待していたのに、えと返ってきて、少し焦る。
嫌われてるんじゃないか、とか。
そんなことを考えてしまう。

どうしてよ、してくれてたじゃんか。
eいや、そうなんだけどさ。今大切な人へのプレゼントを買うためのお金をためてて。
仕事休めそうにないんだよね。

"大切な人"

少し胸がズキズキする。
これ、わかる。あれでしょう？
『恋』ってやつでしょう？

けれどさっきも言ったように、関係は友達以上恋人未満。
恋愛なんて、えおは受け止めてくれない。
告白なんかして関係を悪くするより、このままじっとして、この距離をたもっていた方が絶対にいい。
じゃないと、えおは私の前から消えてしまう。
そんな気がしてならない。

…そうなんだ。いいね、頑張ってよ。
eうん。Aならそう言ってくれるって思ってた。ありがとう頑張るね。

電話がきれ、ツー、ツー…と音がなる。
画面から目をはなし、前を向く。
雪が止まる気配はなく、はぁ、と溜め息をもらす。
スマホの液晶に、雪がおちてくる。
けれど、雪は水になって消える。
雪という存在ではなく、水という存在に変わる。
そう、今の私みたいに。