【プロセカ】ストリートで歌っている推しがユニットを組んだ

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って、伝えたらAは間違いなくキレるんだけど……。

「勝手に俺の曲を自分のものにするな！勝手に救われてんじゃねえよ！」って。そうやってリスナーにも変わらず怒ってる人だって分かったのは、彼とこの屋上で出会ってからだった。
彼のTwitterは曲が投稿された時にしか動かないし、それにURLしかあげない。Aruta新曲あがってる！相変わらずの無言告知！そこがクールで好き！っていうファンもネット上にめちゃくちゃいるけど、多分そういう人達のことも嫌いなんだろうな……って、Aと出会った瑞希は苦笑いでネットの反応を眺めている。
瑞希も出会う前までは、まあそっち側の人間だったけど。そういうの気に入らないんだろうな、って察してAには直接曲の感想を伝えたことは無い。

「や、曲聴いたよー」「曲上げる早いね、最近ちゃんと寝てる？」とか、そういう適度な距離を保って会話をしていたら、その距離感が好みだったのかそこそこ気を許して貰えている……、と思う。嫌だったら嫌ってハッキリ言う人だしね。今だって隣に座っても別に何も言ってこない。

そう言い聞かせて、瑞希はAに甘えていた。

瑞希は、1人で生きていくことは寂しくて怖くてできない中途半端な人間だった。好きな自分を貫きたいけど、人に見放されるのは嫌だ。ずっとずっとどちらかが選べなくて、上辺だけでも人と関わりたくて人の輪に入るけど、深いところには踏み入られたら反射的にその分距離を取る。
だから、瑞希もAといる時間は、心が軽くなって楽だった。Aはこっちに興味が無いから踏み込んでこないし。この人も普通に生きれない人だから、親近感みたいなものを勝手に抱いて一緒にいようとしても、自分以外がどう生きようと知ったこっちゃないからそんな瑞希の弱さを糾弾してこない。そんな彼が友人として、人として好きだ。
それであり、瑞希の理想でもある。誰の目も気にせずに自分らしく生きている、自分がしたいことと表現したいことだけをしている。その為なら孤独だってものともしない。その才能があり、実力が評価されて受け入れられてる人。そんな生き様に憧れるし、ちょっと自信がつく。Aがそうやって生きてると、自分だってそうやって生きていけるんじゃないかと思う。Aのように成れたら、自分はきっとこんなに辛い思いもしないし苦しまなかったんだろうな、と。たまに思うのだ。


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