【プロセカ】ストリートで歌っている推しがユニットを組んだ

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チャンネルの名前は『Aruta』。瑞希が中学生の時、……まあちょっと色々悩んでた時期に動画投稿サイトで見つけた音楽クリエイターのアカウントだ。Kのアカウントを見つけた時とほぼ同時期だった。


Kの曲は『誰かの為の曲』、あの日苦しくて苦しく仕方がなかった瑞希の為の曲だった。自分が抱えた辛さが音楽として表現されたような苦しさがあるのに、泣いてる自分の隣に座って泣き止むのを黙ってくれるような優しさがある。いつかプツンと切れてしまいそうな程に細いこの世界への執着の糸が、誰かの小さな手で守られたように感じた。これから先笑って生きていくには頼りないけど、この小さな光の先にあなたがいてくれるなら、まだ消えたくはないかも。いっそ消えてしまいたいと、フェンスの外側に立った自分を、すんでで引き止めてくれた救いの曲。瑞希はそんなKの曲が救いで、大事で、好きだった。
まあ彼はそれを、『勝手に心に居座ってくる曲』と表現したけど。

それも、彼が『Aruta』だとしたら、なんだか妙に納得する。Arutaの曲は、いつも何かに怒ってた。自分が可笑しいのは上等で棚に上げて、この世界が気に入らなくて、大体の人が嫌いで、不平不満を垂れている。多分、世界の自分への反応は間違ってはいなくて、人が普通に対応出来る範疇から外れた自分が可笑しい。でも別に、悪いことはしてないじゃん。自分を大切にしたいだけなのに。ボクも可笑しいかもしれないけど、やたら気にして後ろ指差してくるお前らだってどうなんだよ。こっちが普通じゃない、のかもしれない。でもお前らがやたら『正しい』って面してくるのは気に入らないし許せない。自分が口にできなかった怒りを、彼は音楽にして全部言ってくれた。
それが爽快で、胸がスッと軽くなるような。癇癪起こして自分しかいない部屋で暴れて、散々散らかした部屋の真ん中で座り込んで。この部屋を片付けなくちゃいけないのは自分だし、散々頭の中で殴り殺してた許せない人達は現実では何にも変わらず、こっちの想いなんて知る由もなく生きてるし、また明日こっちが不快になる態度と言動を変わらずしてくるんだろうけど。それでもまだ、泣くのは我慢出来る。こっちが消えてやんのは癪だから、それは負けた気がするから。また明日を、意地だけで生きていける。
そうやって、自分と違って怒りを表現できる彼の才能に救われた。


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