【プロセカ】ストリートで歌っている推しがユニットを組んだ

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「やーおはよ〜、やってんねえ」


屋上の扉が開く。5限目なので全然おはようではないが、まあ今学校に来たのであろうコイツからしたら「おはよう」なのかもしれない。
淡い桜色のウェーブがかった長髪をサイドで纏めた、大層可憐な見た目をしている……、世間一般的に見れば『美少女』と形容される見た目の人物。暁山瑞希は見た目から得られるイメージより少し低い声で、ノートパソコンと向き合っていたにAに声をかけた。
Aは瑞希を一瞥だけして、特に返事をせずに再びノートパソコンの画面を見た。えーッ？と目を丸くして、瑞希が「ちょっとちょっと、挨拶くらい返してよ」と無愛想すぎる態度に抗議をする。それにも特に反応を示さない。


「相変わらず感じ悪いなあ、A。学校来るの久しぶりじゃない？授業受けないの？」
「課題貰ったしもういい、帰る。あと感じ悪いと思うならわざわざ絡んで来るな、俺は態度を改めるつもりないから。その方がお互いすり減らんだろ」
「えーすり減らないよ、別に嫌だとは言ってないじゃん。Aのズバッとしたコミュニケーション、ボクは気に入ってるよ。ハッキリしててわかりやすくて、そういうのの方が楽なときあるし」
「ああ、そ。含みがある言い方しても俺は別に聞き返さんからな。お前の悩みなんて興味無いし」
「酷〜い。たまには慰めてくれてもいいじゃん」


気にしてなさそーなカラカラとした笑い方だった。酷い、なんて微塵も思ってなさそうな言い方して笑って、瑞希はAの隣に断りもせずに座ってくる。
瑞希は片手で器用にスマホを弄りながら「それにしてもさ、A」と話題を変えた。


「最近曲上げるペース早いね〜、A。しかもめっちゃ伸びてるし。コメントとか見てる？」
「腹立つから見ない。どいつもこいつも俺の曲に勝手に自己投影して勝手に救われやがって」
「見てんじゃん！(笑)なにそれ、ダメなの？音楽ってそうじゃない？共感して救われるから好きになるんじゃん」
「作らん奴の考えることは知らん。共感って、俺の何がわかるんだ。俺の曲は俺のものだよ」
「相変わらず桁違いの自己主義だね。学校来てない間ひたすら作ってるの？」
「そりゃそうだろ。それ以外俺が何すんの」


ノートパソコンの画面を見つめたままAはそう言った。初めから分かりきってることを質問されて答えるのが億劫なような、それ以外本当に何も知らないような、そんな心地だった。

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