小さな約束 *Daiki.A* (ページ12)

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その子はお母さんのところへ行った。

「大貴モテるね」

有岡「ん、そうでもねーよ」

あのあと射的をしたり
金魚すくいをしたり
お祭りを楽しんだ。

有岡「帰ろっか」

きた道をかえる。

有岡「俺、別にあの子のこと好きじゃないからね！」

「いや、聞いてないよ！笑」

有岡「まだあの頃からずっとAだから」

「もう。大貴はなんでそんなストレートに言うんだよぉ。」

有岡「だって素直にいた方がいいじゃん」

「そうだけど！」

有岡「なんだよ」

「私はそんなに素直になれないから
昔から素直な大貴が羨ましいよ」

有岡「ま、意地っ張りなとこもあるけどな！」

そんなとこも大好きだよ。

有岡「花火持ってくる。玄関で待ってて」

「うん」

しゃがんで
夏の夜の空を見る。

まだ9才。
目の前にいる彼と
これから先なにもなく幸せに生きていけるって
ただただ信じてた。

有岡「なに。なんか見える？」

「ん？ほら、あれ。真夏の大三角形」

有岡「あ、本当だ」

ろうそくに火をつける

有岡「ほら。」

花火をもらって
火をつける

緑に照らされる大貴
赤色に照らされるワタシ。

「えいっ」

大貴の方に火をむける。

有岡「あぶな！笑やりかえすぞ！笑」

ずっとずっと
その笑顔を1番側で見てられると思ったのに。

散々叫んで遊び散らかしたあと

有岡「線香花火」

「あ、ありがと」

毎年先にある落ちた方が負けって。
大した勝負じゃないけどね。

すぐ隣
いつもこの距離。
でもドキドキする。
今までは感じたことなかったのに。

浴衣のせいなのか。
夏のせいなのか。
花火のせいなのか。

大貴と目があった。

有岡「なんだよ！笑」

「ん。別に」

目が合ったと同時に
2人の線香花火がおちた。

真っ暗になった。

どちらかともなく

チュッ

ってキスをした。

『好き』の意味を知った9才。