ダイヤモンドの輝き超えて ２

★仲裁 ページ8

問題が起こったのは、どうやら物販のレジらしい。

細かいことはわからないが、２人の女性が

睨み合って対峙しているのを見るに、

どちらかが列に割り込んで、

それにもう一人が過剰に反応したのだろう。


「いいじゃない、列ぐらい。

　私は急いでるのよ！」


「あんだだけ特別なのはおかしいでしょ！

　Rising Universにも迷惑よ！」


許されるはずのない自分勝手な主張を

片方が堂々と繰り広げれば、

もう片方はRising Universの迷惑に

なるなどと自分に特大ブーメランが

返ってきそうな啖呵を切る。

この場所で喧嘩することそのものが

迷惑なのに、そのことを一つも考えていない。


「うるさいわね、あんただって

　十分迷惑よ！」


「はぁ？！誰のせいよ！」


お互い譲らないので、喧嘩はますます

激しさを増してきた。

スタッフさんは手を離せないようで、

焦ったようにこちらを見ている。

周りのお客さんも、さっきまでの笑顔が

嘘のようにしんとしていた。

私は居ても立ってもいられなくなって、

二人の間にバッと割り込む。


「お二人とも、お止めください。」


陽夏ちゃんと茉優ちゃんが皆に届けた

“笑顔”を奪うなんて、許せなかった。

喧嘩をしていた二人は一瞬驚いて

私を見たものの、すぐに元に戻る。


「何よあんた！しゃしゃり出ないで！」


「あんたには関係ないでしょ！」


二人の手が一斉に私の方へ伸びてきて、

誰かが危ない、と叫んだ。

二人の手が私にぶつかる瞬間。

私は二人の手首をきゅっと抑える。

手を出した二人も物販にいる人々も

皆さん驚いているが、これでも神城家の次女。

武道だってお姉様ほどではないが嗜んでいる。

胴体視力はそれなりのものだ。


「せっかくのステージ、お二人とも

　お洋服やお化粧に手を入れたのでは

　ないですか？美しいお洋服やお化粧は、

　笑顔が一番映えますよ！」


二人の手首を握ったまま笑顔でそう言えば、

二人は気まずそうに手を下ろした。

そこにスタッフさんたちが来てくれる。

怪我はないかと心配するスタッフさんたちを

宥め、私はようやく周囲の視線に気がついた。


「目立ってる…！」


思わず小さく呟いて、体を縮こめる。

どこか目立たない場所を、と思ったが、

ここは大混雑の物販。そんな場所はない。

私が諦めてこっそりため息を吐くと、


「カリン、こっち。」


聞き慣れた声が耳元で鳴って、

私の手がふわりと取られた。

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新たなるステージへ(I Believe)

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