ダイヤモンドの輝き超えて ３

Love Me Tear ページ4

「そろそろスタジオ行こうか」


「そうですね」


休憩を挟んで最終確認をした後、ミレイが立ち上がる。

私も頷き、台本だけを持って楽屋を出た。

スタジオでスタッフさんたちと最終確認をしながら、

お姉さまとミライさんの到着を待つ。

時刻はすでに生放送一時間前を切っており、

スタッフさんたちも言葉にこそしないが焦っていた。


カメラ、照明、音声。

全ての準備が整い、後はLove Me Tearの到着のみとなった、

生放送開始まで残り20分という時。


「Love Me Tearさん、入ります！」


スタジオの入り口の方からそう声がして、

開いた扉からパッと光が差し込んだ。

そこから、まるでその光を全身でまとっているみたいに

眩いオーラを放つ２人が、真っ直ぐに歩いてくる。


「遅れて申し訳ありません。よろしくお願い致します」


「お疲れさまで〜す！よろしくお願いします！」


きっちりと頭を下げた後、顔を上げて華やかに微笑むお姉さまと、

明るい声に真剣さをにじませて凛と立つミライさん。

特別な動作でも何でもないのに、魅力的なのはどうしてなのか。

悔しいけれど、オーラの差を痛感する。


「カリンとミレイちゃんも、よろしくお願いしますね」


「よろしくね、２人とも！」


ボーッとしていると急に目の前から声がして、

私は慌てて頭を跳ね上げた。

お姉さまとミライさんが並んでこちらに歩いてきて、

さっきと変わらない顔で微笑む。

お仕事モードだから仕方ないのかもしれないけれど、

他人行儀なその動作が少し寂しかったりもして。

いつも大して話さないのにそんな事を思うなんてと、

自分の身勝手さに心の中で苦笑した。


「こちらこそ、よろしくお願い致します」


２人がお仕事モードなのだから邪魔をしてはいけないと、

私は手短にそう言って頭を下げる。

でも、なぜだろう。

お姉さまと違って、私が他人行儀な態度を取ると、

ただの愛想の無い人間なのだった。

お姉さまは、たったそれだけで周囲の人を笑顔に出来るのに。

でも、もっと愛想の無い人間が、私の隣にいた。


「よろしくお願いします」


ミレイは、自分のお姉さんであるミライさんと

極力視線を合わせないようにしながらそれだけを口にする。

でも、そうしたくなる気持ちもわかってしまう……。

生放送なのにこんな調子では不安だけれど、

ミレイだってテレビではここまであからさまでは無いはず。

私は事件なく終わることを天に祈った。

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