【青葉城西】お前ら、モブを邪魔するんじゃねえ

016. ページ17

「はッ…………？」


女の手からはバケツが転がり落ち、もちろん私は頭から水が滴っている状態。


「……ｯA先輩！？」




私は背中に遥香さんを隠し、女達が睨んでくるのを見つめ返す。



「なーにかこっこ良く登場してヒーローぶってるわけ？」

『別にぶってません』

「アンタもそいつと同じなわけ？そういう態度ムカつく」

『そうですか』

「…………ｯもういいかげんウザイのよ！！！」




淡々と返す私に痺れを切らしたのか天高く上げられた手は、一気に振り下ろされた。


それは、何にも遮られることなく。








パッチーーンｯ！！


『…………』

私の頬を赤く染めた。






「アンタが邪魔するからそうなるのよ。本当はその殴られるポジション、百瀬遥香だったんだから」

『…………』






“邪魔するからそうなるのよ”



……邪魔、ねぇ？

それが邪魔ならさ……










『貴方こそ邪魔しないでください』

「ｯは！！？」



『私はモブです。貴方たちも私の名前は知らないと思います。

だからこそ、ヒロインを邪魔しないでください。




欲望、憎しみ、妬みにまみれて、

進むべきストーリーを邪魔するんじゃない』



「…………」








私が語ったことに呆れたのか、何なのかは知らない。
けれど彼女達は足早に去っていった。

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