ツキノヨニ (ページ25)

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「気がついたら自分の部屋でね、生物の時に書かれてた予言みたいなのは女王様が書いたものだったの。家で私からノートに書いて話しかけてみたら返事が来てね、色々教えてくれたよ。海人くんと紫耀くんと永瀬先輩と、神宮寺先輩と岸お兄ちゃんと岩橋さんが吸血鬼で、なんでここにいるのかとかなんでみんなが殺人事件の犯人なのかとか」

「……あ……知ってるんだ。Aちゃんが言ってる事件の犯人が、俺達だって」

「うん。海人くんと紫耀くんが来る前、永瀬先輩に言われて……その時はすごく怖かったけど、もう大丈夫」

自分の死とは別に、廉にはまだ怯えている。あのときの表情、喋り方が脳裏に焼き付いて離れない。

「大丈夫なんかじゃないよ……。俺Aちゃんを殺したくない……！」

真剣に、深刻に、自分を見つめる海人の瞳に少しAは恐怖を感じてしまった。

「わ、私だって海人くんに殺される気ないから……！」

言い終わって、変なことを叫んでしまったとAは思った。案の定海人は目を見開きをぽっかりと開けている。

「女王様私を守ってくれるって言ってくれたし、私だってちょっとは自分を優先したいし……」

こうなったらとAはヤケになって早口になりながら自己中心的な発言をする。死ぬならせめて未練のないようにしたい。

停止したままAの言い分を聞いていた海人はようやく口を開いて、緊張が解けたような表情をした。

「ふっ……ふふ。そんなこと言われると思ってなかった。なんか、悩んでたのが馬鹿馬鹿しくなっちゃうね」

流石に国のことがどうでも良くなったわけではないが、今ひとりで悩んでいても仕方がないと思ったのは事実である。