あの子の正体【まふまふ】 (ページ2)

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それは突然の出来事だった。

「相川さん！？」

　昔から何でもできるお兄ちゃんとなんにも出来ない私。お兄ちゃんは私の憧れ。お兄ちゃんみたいになりたい、何度そう思っただろうか。それでも、私はお兄ちゃんみたいにはなれない。自分はなんにも出来ないんだ、そう思いながら生きていた。

　出来ない人間なりに頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って……。私の身体は知らないうちに限界を超えていたようだ。ある日、私は職場で倒れてしまった。

「A、今日は大丈夫？」

　しばらくの入院生活を終え、気がついたら私はお兄ちゃんに保護されていた。仕事の休職手続きもお兄ちゃんがしてくれていたようで私のすることは何も無い。お医者さんからも『今まで頑張っていた分身体を休ませてあげてください』と言われたが、今までずっと動いていたせいか何もしないのはどこか落ち着かない。お兄ちゃんに申し出て食事の用意や洗濯などの家事はやらせてもらっている。それでもお兄ちゃんは毎日のように私に「大丈夫？」と声をかける。

　やっぱり私はお兄ちゃんに迷惑をかけてしまう。