百年、僕はキミに愛を捧げる (in×ar)

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【 ６月８日 曇り

今日も伊野ちゃんが来た。

とろけそうな笑顔で

『愛してる』なんて言ってくる。

伊野ちゃんは酷い人だ。

もう、どれだけ経ったと思うんだろう。

もうすぐ一年経つのに、

伊野ちゃんは変わらず俺に告白してくる。

それで俺もそれを拒めない。

好きだよ、伊野ちゃん。

今日も、明日もずっと好き。

だからお願い、俺に告白しないでよ。

明日の俺、お願いだ、お願いだから、

もう伊野ちゃんを、 】








【 ７月１３日 雨

『大ちゃんのこと、高校のときからずっと好きだった』

って顔中にキスされた。

あーもう、幸せだ。

伊野ちゃんは幸せじゃないのに、俺だけ幸せだ。

なんだか、俺の記憶はなくなるけど、

多分伊野ちゃんを好きな気持ちは

どんどん増えていってるんだと思う。

だからこうして抜けだせないんだ、馬鹿みたいに。

俺じゃ無理だ、どうしたって手放せない。

伊野ちゃんから告白され続けることが、

泣きたいくらい幸せだ。 】








【 ８月３１日 晴れ

今日は向日葵を貰った。

『大ちゃんだけがずっと好きだよ』

って言われた。

俺もずっと好きだよ。

ずっと、ずっと好き。

だから神様、神様お願いだから、

伊野ちゃんを、どうか幸せにしてください。

一年前の言葉通り、

このままじゃ一生伊野ちゃん俺に好きだ

って言い続けるんじゃないかと怖い。

なのに、俺はやめさせることができないんだ。

一年間俺に告白し続ける、この馬鹿な人を、

誰か助けてあげてください。 】









「…馬鹿か、大ちゃんは」









ぽたり、と。


一粒だけ、涙がノートに落ちる。









それはまるで、不器用な愛だった。









たまに見つかる、文字が歪んだ部分、文字が滲んだような痕を撫でる。









苦しそうに、


辛そうに、


それでも愛に溢れていた。


昨日のことを忘れるはずないのに、


だんだんと弱々しい文章になっていくそれが、


今日しか残らない大ちゃんに残っている


”何か”があるようで。









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