#10 ページ10
.
それから数週間をどうやって過ごしたか覚えていない。
テレビもほとんど付けずにただ漠然と過ごしていた。
学校に行って友達と話して夜からバイトして、
家に帰ってお風呂に入って寝るだけのそんなありきたりな生活をしていた。
その日は突然に現れた。
冬は濃く風が強く手がかじかんでいた。
午後からのゼミは教授が饒舌に話すからなかなか抜け出せなくて、店に着いた時にはもう開店していた。
コートのポケットにずっと仕舞われていたはずの手は冷たいままだった。
扉に手をかけると身震いがする。
そして大きな笑い声が中から聞こえてきた。
今日はやけに賑やかだなぁと時計を見ると18時を少し過ぎていた。
やはり盛り上がるにはまだ早い気がする。
不思議に思いながら引き戸の扉をガラガラと開けた。
「あ、ひさしぶり〜〜」
「……」
数秒経って何事もなかったかのように俺は扉を閉めた。
「…な、んで……」
今起きたことがわからない。
俺はその場で固まる。
すると中からバタバタとこちらに近付く音がした。
それは死へのカウントダウンのように重く感じて必死に体を奮い立たせ、
引き戸を勢いに任せ開かないように力を込めた。
向こうで、何これ開かないちょっと大ちゃん!と
ガタガタ扉を震わせながら開けようとする。
.
376人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
shiori(プロフ) - はじめまして!この作品が大好きでどうしても続きが見たいと思ってしまいます…!大変かとは思いますがぜひよろしくお願い致します!! (2019年9月20日 0時) (レス) id: ae1427f3b0 (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - P.S. 14話の「大ちゃんを適当にあしらいながら」に少し違和感を感じたのですが…もし違ったらごめんなさい!! (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - まつり。さん、初めまして。作品、続きが出るのをワクワクしながら待っています^^ 更新、お忙しいかと思いますが、まつり。さんのペースで、頑張ってください。陰ながら応援しています! (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
ま つ り。(プロフ) - あぽろさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです(;_;)頑張ります!! (2018年8月26日 16時) (レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ(プロフ) - すごい続きが読みたくなるようなお話ですごく面白いです!これからも更新頑張ってください! (2018年8月26日 16時) (レス) id: 45c25e2e4b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ま つ り。 | 作成日時:2018年8月1日 22時