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「知念、ライブ行かなくてよかったのかよ…」
そう聞くと知念はへにゃりと笑った。
「はは、宏太に怒られるかも」
近くの喫茶店に入りカフェオレを頼んだ。
知念とも卒業コンサート以来の再会になるのに気が乗らなかった。
「元気してた?」
「それはこっちの台詞だよ」
知念は笑いながらだけど声は怒っているように感じた。
7のみんなとも連絡を断ち、どこに住んでいるかすら教えていない。
心配させたのは事実で怒られても仕方がなかった。
「ごめん、色々あって会えなかった…」
「伊野ちゃんのことでしょ?」
なんで知ってるんだって顔をすると
知念は笑いながらオレンジジュースを啜った。
「大貴がいなくなってね、一番ショックを受けたのは伊野ちゃんだったよ」
知念にとっても話したくなかった話題だったと思う。
けれど俺に伝えないといけない何かがあったのだろう。
変わらない瞳の奥は笑っていなかった。
「宏太から聞いたんだ。伊野ちゃんが卒業式の日に大貴に告白したこと」
無意識に声が漏れた。
それはいろんな感情を孕んでいた。
俺が目を丸くして何も言わずに顔を伏せるのを見て知念は慌てて補足した。
「知ってるのは宏太と僕だけだから!伊野ちゃんも話したくて話したわけじゃなくて、尋常じゃないくらい落ち込んでたから宏太が無理やり話させたって言ってたよ!」
俺は話についていけなくなっていた。
自分がしたことによって傷ついた人、
巻き込まれた人、それは誰も悪くない。
ただ心が痛かった。
それでも謝ることはできなかった。
この選択を間違ったと思ったことがなかったから。
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shiori(プロフ) - はじめまして!この作品が大好きでどうしても続きが見たいと思ってしまいます…!大変かとは思いますがぜひよろしくお願い致します!! (2019年9月20日 0時) (レス) id: ae1427f3b0 (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - P.S. 14話の「大ちゃんを適当にあしらいながら」に少し違和感を感じたのですが…もし違ったらごめんなさい!! (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - まつり。さん、初めまして。作品、続きが出るのをワクワクしながら待っています^^ 更新、お忙しいかと思いますが、まつり。さんのペースで、頑張ってください。陰ながら応援しています! (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
ま つ り。(プロフ) - あぽろさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです(;_;)頑張ります!! (2018年8月26日 16時) (レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ(プロフ) - すごい続きが読みたくなるようなお話ですごく面白いです!これからも更新頑張ってください! (2018年8月26日 16時) (レス) id: 45c25e2e4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ま つ り。 | 作成日時:2018年8月1日 22時