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大好きだったアイドル。


どうして簡単に諦めることができたのか


今となれば過去の自分に感服することしか出来ない。


遠くに感じていた人が今はすぐ目の前にある。


好きで仕方なくて諦めた、近くてずっと遠くにいる幼なじみは今ここにいる。


そう思うとステージに散らばる一人一人を見ることができなくなって再び足元を見ていた。


歓声が所々に上がって聞きなれた声が響いて顔が熱くなった。









いつから自分はこんなに弱くなったのだろう。


目から零れ落ちそうなのを堪えるために上を向く。


同時に側で上がった大きな歓声。


その目が二つこちらを視界に入れた。


それは思っていたよりもすぐ側にいた。


わあああと悲鳴のように上がる歓声を背に鳥肌が立った。


多分向こうも同じことが起きているのだろう。


目を丸くして間抜けに口を開けその場で一瞬止まっていた。









手放した伊野ちゃんはこんなにも遠い存在になっていた。


その証拠に彼はすぐにアイドルスマイルに変わり、


センターステージを歩いて俺の前を横切っていった。









「すいません。俺帰ります」








「え?お客様!」









小声でのやりとりだったけれど、


俺は引き止める声を無視して踵を返した。









来るんじゃなかった、来るんじゃなかった。









なんて軽率だったんだろう。


どこかできっとまだ伊野ちゃんは自分のものだと思っていたんだろうか。


そんなの間違いだらけじゃないか。


一度だって俺のものではなかったし、


今はもう俺だけのものにしてはいけない存在。


それをただただ見せつけられただけだった。









遠ざかっていく音さえ途端に耳障りで、


スカスカのロビーで人とぶつかった。


すみません、と会釈をして進み出そうとすれば


腕を掴まれ俺は情けない顔を浮かべながら振り返った。


早く帰りたい。


心はここにいなかった。









「…知念……」








「やっぱり!大貴だ!」









そこにはかつてのメンバーがいた。


今日はとことんついてない。


心底絶望したのをよく覚えている。









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設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧 , 有岡大貴   
作品ジャンル:恋愛
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shiori(プロフ) - はじめまして!この作品が大好きでどうしても続きが見たいと思ってしまいます…!大変かとは思いますがぜひよろしくお願い致します!! (2019年9月20日 0時) (レス) id: ae1427f3b0 (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - P.S. 14話の「大ちゃんを適当にあしらいながら」に少し違和感を感じたのですが…もし違ったらごめんなさい!! (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - まつり。さん、初めまして。作品、続きが出るのをワクワクしながら待っています^^ 更新、お忙しいかと思いますが、まつり。さんのペースで、頑張ってください。陰ながら応援しています! (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
ま つ り。(プロフ) - あぽろさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです(;_;)頑張ります!! (2018年8月26日 16時) (レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ(プロフ) - すごい続きが読みたくなるようなお話ですごく面白いです!これからも更新頑張ってください! (2018年8月26日 16時) (レス) id: 45c25e2e4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ま つ り。 | 作成日時:2018年8月1日 22時

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