言えないことば、言いたいことば (in×ar)

＃１８ ページ18

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すごく重たい瞼を瞬かせながら俺は仕事をしなかった目覚まし時計を見てため息をついた。


授業がなかったから良かったものの10時はとっくに過ぎている。


ベッドに出来たもう一つの山を乗り越え洗面所に向かった。









昨日はあのまま伊野ちゃんが俺の上で泣きじゃくった挙句、


寝落ちしたから俺も身動きが取れずそのまま寝てしまった。


仕方が無いとサッとシャワーを浴びて部屋着に着替えた。


瞼は腫れていて不細工な顔を鏡越しに見ていると


もう一つ顔が現れてその顔を見事に残念で思わず笑ってしまった。









「何笑ってんの？言っとくけど大ちゃんもひどい顔してるからね」








「いやいや伊野ちゃんには負けるよ」









あははと笑いながら伊野ちゃんへ向かうと正面からぎゅっと抱きしめられた。


伊野ちゃんの体重がかかり俺は洗面台にお尻を預けた。









「おはよう大ちゃん」








「はいはいおはよう」









寝癖が荒れ放題の伊野ちゃんの髪の毛を直し、


お風呂に入るように言うと伊野ちゃんは一層力
を込めた。









「俺レポートしないといけないからさ、大丈夫だって」








「信用できない」









伊野ちゃんは眉間にしわを寄せながらそう言った。


実際、逃げられることなら逃げ出したい。


けれどこれ以上目の前の伊野ちゃんを傷つけるほど俺の心も強くなかった。









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