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#17 ページ17

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伊野ちゃんの手を払いのけ溢れる涙を強引にゴシゴシと拭うと、


『腫れるからやめて』と伊野ちゃんに腕を掴まれた。


それでも止まらないから抵抗すると


伊野ちゃんの顔が近づいたかと思えば、ペロリと涙を舐め取られた。


やばいと思って伊野ちゃんのお腹に蹴りを一発いれれば咳き込みながら離れていった。









「いったぁ!蹴るとか最悪!」









伊野ちゃんはお腹を抑えながら俺に睨みを利かせてきたけどそれどころじゃなかった。


一緒にいたらまずい。


俺は顔に手を当てながら立ち上がり急いで玄関へ向かった。


だめだ。


これ以上はだめだ。


伊野ちゃんのあの顔に何もかも許してしまいたくなる。


けれど伊野ちゃんもこんなところで逃がすわけもなく、


お腹に手をやりながらこの部屋から必死で逃げ出そうとする俺の手を必死で捕まえ、


また小さなワンルームまで引っ張りベッドに放り投げた。


そして伊野ちゃんは俺の上に馬乗りになった。









「この期に及んで大ちゃんは諦めが悪いね」









伊野ちゃんも必死だったからか息が上がっている。


俺は自分でもわかっていたから真っ赤になる顔を伊野ちゃんから隠す。









「俺本当は怒ってるよ?大ちゃんが俺を捨てたこともコンサートに来てくれなかったことも、知念に訳わかんない伝言残したことも」









手にポタリ液体が落ちる感覚がして俺は手を退けおそるおそる伊野ちゃんの顔を見上げた。









「なんで大ちゃんは何も話してくれないの?なんで俺だけを見てくれないの?…なんで、気持ちを押し殺すの?」









雨のように滴り落ちる涙は俺の顔を跳ね頬を伝って流れた。


辛い思いをしていたのは俺だけじゃない。


わかっていたのに理解していなかった。


画面の向こうでいつも笑顔な伊野ちゃんは無敵なんだって、どこかで勘違いしていた。









「ねえ、俺を見て」









甘い声を俺の脳を揺らす。


ポツポツと降り注ぐ雨は冷静になるには十分だった。









「今の俺だけを見て」









今度は伊野ちゃんの頬に手を伸ばして涙を拭った。


そしてその手を口元に持っていきペロリと舐めると塩辛い味がした。









「ははしょっぱいね…」









俺がそう言うと伊野ちゃんは断りもなく俺の唇に自分のそれも押し付けた。









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設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧 , 有岡大貴   
作品ジャンル:恋愛
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shiori(プロフ) - はじめまして!この作品が大好きでどうしても続きが見たいと思ってしまいます…!大変かとは思いますがぜひよろしくお願い致します!! (2019年9月20日 0時) (レス) id: ae1427f3b0 (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - P.S. 14話の「大ちゃんを適当にあしらいながら」に少し違和感を感じたのですが…もし違ったらごめんなさい!! (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - まつり。さん、初めまして。作品、続きが出るのをワクワクしながら待っています^^ 更新、お忙しいかと思いますが、まつり。さんのペースで、頑張ってください。陰ながら応援しています! (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
ま つ り。(プロフ) - あぽろさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです(;_;)頑張ります!! (2018年8月26日 16時) (レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ(プロフ) - すごい続きが読みたくなるようなお話ですごく面白いです!これからも更新頑張ってください! (2018年8月26日 16時) (レス) id: 45c25e2e4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ま つ り。 | 作成日時:2018年8月1日 22時

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