＃１２ ページ12
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「大ちゃーんビールーー！」
伊野ちゃんはカウンターで常連のオヤジさん達と楽しそうに飲んでいる。
俺は黙って水を注ぎ伊野ちゃんに差し出した。
「なにこれ？」
「水」
いつの間にか俺も伊野ちゃんも成人している。
お酒を呑んで上機嫌に駄々をこねる伊野ちゃんはすごく遠くに感じた。
「それ飲んだら次出してあげるから」
伊野ちゃんはコップのふちを撫でながらにまりと笑った。
「相変わらずお節介だねぇ」
俺が眉を寄せると伊野ちゃんは心底嬉しそうだった。
あの後伊野ちゃんは俺を目一杯抱きしめてあっさり解放してくれた。
そして俺の手を引き、店に戻りオヤジさん達と飲み会を再開した。
俺は唖然としながらその場に立ち尽くしていれば、
オーナーに名前を呼ばれ、流れるようにバイトを始めた。
そして21時を目前に伊野ちゃんは完全に出来上がっていた。
「兄ちゃん強いね！」
「よく言われる〜〜大ちゃんビール早く！」
さっき渡した水は綺麗になくなっていた。
俺は仕方なくビールを注ぎ差し出すと嬉しそうに喉を鳴らしながら呑んでいた。
大ちゃんを適当にあしらいながら注文を聞いたり、
いつも見たく忙しなく働いていたおかげでその時はナイーブな気持ちにはならなかった。
「大貴くん今日はもう上がって」
「え、もう？」
オーナーは何が面白いのかオヤジさん共とゲラゲラ笑う伊野ちゃんを顎で指す。
こんな姿を見たらファンが泣くぞと思いながら見なかったことにした。
「話さないといけないことがあるんやろ？」
「……はい…」
俺は苦笑いを浮かべながらぺこりと一つ頭を下げた。
本当は何も話したくなかった。
絶対にボロが出る。
だから逃げたんだ。
まとわりつくものは全部捨てて。
「大ちゃん水くれる？」
俺が帰ることを察したのか伊野ちゃんはさっきとは打って変わって茶化すことなく注文してきた。
俺は並々入れてそれを渡した。
わかっている。
伊野ちゃんとはちゃんと話し合わないといけないことを。
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shiori(プロフ) - はじめまして！この作品が大好きでどうしても続きが見たいと思ってしまいます…！大変かとは思いますがぜひよろしくお願い致します！！ (2019年9月20日 0時) (
レス) id: ae1427f3b0 (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - P.S. 14話の「大ちゃんを適当にあしらいながら」に少し違和感を感じたのですが…もし違ったらごめんなさい！！ (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - まつり。さん、初めまして。作品、続きが出るのをワクワクしながら待っています^^ 更新、お忙しいかと思いますが、まつり。さんのペースで、頑張ってください。陰ながら応援しています！ (2018年9月5日 2時) (レス) id: 25896fb88b (このIDを非表示/違反報告)
ま つ り。(プロフ) - あぽろさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです(；＿；)頑張ります！！ (2018年8月26日 16時) (レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ(プロフ) - すごい続きが読みたくなるようなお話ですごく面白いです！これからも更新頑張ってください！ (2018年8月26日 16時) (レス) id: 45c25e2e4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ま つ り。
| 作成日時：2018年8月1日 22時
