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同じ大学で同じサークルに入っていた俺たちは、
学年が違うというのに何をするにもつるんでばかりいた。
あの日も今日と同じようにどちらかの家で並びあってお酒を飲んだ。
俺は社会的に飲酒を許されるようになったばかりで、
まだお酒の味に慣れてなくて、ビールは苦くて。
飲みかけのそれを伊野ちゃんに押し付けて、
自分は甘いお酒を飲んだ。
オレンジか何かの果実酒だった、と思う。
飲み進めていくうちに、
酔っ払った伊野ちゃんが俺の肩に頭をのせてきて、
俺はそれに『重いからどいて』と返したんだ。
いつも通りに。
「ひっど〜!…ん。あれ、大ちゃんの髪、いい匂いする。シャンプー何?」
「あのよくCMしてるやつ。伊野ちゃんが可愛いって言ってた女優の」
「あー、あれ?というか大ちゃん、女もの使ってるの」
「…昔からそれじゃないと頭爆発するのっ」
「ふっ、大ちゃんかわい〜」
そう言って髪の毛を一房摘んで、くるくると捻って遊ぶ。
伊野ちゃんはそのままそこに唇を落とした。
耳に、吐息がかかる。
「ひっ、ん」
「…何その声」
空気が変わってしまったのは多分そこからだ。
面白いものを見つけたような、
好奇心でいっぱいの目が眼前に広がる。
しかしそれは瞳と瞳がかち合った瞬間、
違う表情を見せた。
真剣で、少し怖い、男の顔。
頬にかさつく掌の感触。
「大ちゃん、時々そういう顔するよね」
「そういう顔って、なに…」
唇が、触れて、離れた。
頭が真っ白で状況が理解できない。
ただ、唇の柔らかさだけが生々しかった。
「今、何、して…」
「ほらその顔。ね、もっかいしていい?」
了承を得ずに唇を塞がれた。
指先が耳の後ろを撫でて、
ぞくりと背筋が戦慄いた。
離れた唇が顎を、喉を伝って、
鎖骨にたどり着く。
腰が重たくなって、息が苦しい。
「やだ、いのちゃ、やっ…」
「その顔、すっごい色っぽい…ね、口開けて?」
「んぁ、ん……」
そうして口内に侵入した親指はゴツゴツと節くれだっていた。
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まつり(プロフ) - こなにゃさん» お久しぶりです…!占ツクでもありがとうございます!やっと完結することが出来ました。お互いこれからも頑張りましょうね!(^ ^) (2017年10月27日 19時) (レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - tonkoさん» 2度も感想コメありがとうございます!(^O^)/また素敵なお話が書けるよう頑張ります…! (2017年10月27日 19時) (レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
こなにゃ(プロフ) - フォローさせていただいています、こなにゃです!完結おめでとうございます。涙なしでは読めないinarの作品でした。私の語彙では表現しきれないほど素晴らしい作品をありがとうございました!(^^*) (2017年10月27日 18時) (レス) id: 880390ae13 (このIDを非表示/違反報告)
tonko(プロフ) - 完結おめでとうございます!切ないけど素敵なお話ですね。まつり様の書かれる小説大好きです。ありがとうございます(*´ー`*) (2017年10月26日 20時) (レス) id: 98d4a60636 (このIDを非表示/違反報告)
ともか(プロフ) - まつりさん» いえいえ!!いのあり大好きなので、いつも楽しく拝見させていただいてます!! (2017年9月27日 7時) (レス) id: afd49e2f58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ま つ り。 | 作成日時:2017年9月15日 13時