◇２４ ページ24
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「……伊野ちゃん」
「なに？」
「……今日で、最後にしよう」
冬の乾いた空気に亀裂が入って、
シーンとした1DＫにはずっしりと重たい空気が充満している。
俺の声は情けなくも震えてしまって、
消えそうに小さかった。
伊野ちゃん腕はますます強く俺を閉じ込める。
いっそここから出られなくして欲しい、のに。
「今日、奥さんが会社に来たよ……伊野ちゃんが浮気してるって、俺に相談に。相手が俺だとは微塵も思ってなかったみたいだけど」
鼻の奥がつんといたんで目頭が熱くなる。
泣くな。男だろ。
なるべく何でもないように、
後腐れのないように。
本気じゃない。
本気じゃなかった。
お互いに。
だから平気。
そうでも思わないととても言葉にならなかった。
「ね、もう無理だよ」
「でも、」
「無理なんだよ！！」
俺の叫びに伊野ちゃんはびくりと肩を揺らし、
腕が緩んだ。
二人の間に隙間ができる。
それが寂しくて、
もっと強く抱き締めてなんて
今の俺には言えない。
「……もう、無理だよ…伊野ちゃんにいつ子どもができるのかびくびく怯えながら暮らすのも、奥さんを苦しめてるくせに、のうのうと伊野ちゃんに抱かれてることも……」
男と男で。
片方は既婚者で。
社会のルールを破りまくったこの恋を、
貫き通す程の力も、
全てを壊す勇気も俺は持ってない。
まして伊野ちゃんは
俺よりも守らなければならない大切なものがある。
「もうやだ、つらい、やめたい……もう無理だよ、お願い…はなして……」
離してほしい。けど離さないでほしい。
二つの相反する感情の強さはきっちり同じで、
ぶつかり合って火花を散らす度に胸には、
鋭い痛みが走った。
この痛みは罰だ。
ハッピーエンドなんてありえない。
結末は最初から分かっていたのに。
あの日、伊野ちゃんを受け入れるべきじゃなかった。
けれど形ばかりの抵抗で、
嫌と言いながら悦に浸っていたのは間違いなく俺なんだ。
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まつり(プロフ) - こなにゃさん» お久しぶりです…！占ツクでもありがとうございます！やっと完結することが出来ました。お互いこれからも頑張りましょうね！(^ ^) (2017年10月27日 19時) (
レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - tonkoさん» ２度も感想コメありがとうございます！(^O^)/また素敵なお話が書けるよう頑張ります…！ (2017年10月27日 19時) (レス) id: 28c1963f62 (このIDを非表示/違反報告)
こなにゃ(プロフ) - フォローさせていただいています、こなにゃです！完結おめでとうございます。涙なしでは読めないinarの作品でした。私の語彙では表現しきれないほど素晴らしい作品をありがとうございました！(^^*) (2017年10月27日 18時) (レス) id: 880390ae13 (このIDを非表示/違反報告)
tonko(プロフ) - 完結おめでとうございます！切ないけど素敵なお話ですね。まつり様の書かれる小説大好きです。ありがとうございます(*´ー｀*) (2017年10月26日 20時) (レス) id: 98d4a60636 (このIDを非表示/違反報告)
ともか(プロフ) - まつりさん» いえいえ！！いのあり大好きなので、いつも楽しく拝見させていただいてます！！ (2017年9月27日 7時) (レス) id: afd49e2f58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ま つ り。
| 作成日時：2017年9月15日 13時
