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好きな匂い ページ16



翔吾side




車から降りる時、陸さんに言われた言葉を
ボソボソと繰り返し唱えながら
Aが居る、俺の家に戻った。

平日の昼間だから、ここに住んでいる人も
俺の他には誰も居ない。
たぶんAも家にはおらんやろなぁ。


お守り代わりにしていた鍵を鞄から取り出して、
ギィ、と無機質な音を立てながら扉を開けて中に入った。

その瞬間、ふわりとA特有の
甘く優しい匂いに包まれた。
…ああ、やっぱり好きやなぁ。
早く、Aに会って抱き締めたい。


荷物を部屋に置きに行った時も、
キッチンに水を取りに行った時も、
部屋中にAの香りが残ってて
ずっと、こう、ふわふわしてた。

微かに香る匂いだけでこんなになってるんやから、
Aが帰ってきたら俺どうなるんやろ、笑
はよ帰ってこーへんかなぁ。















『…あれ?翔ちゃん居る!?』




なんて、愛しい彼女の声が聞こえたと思ったら
ドタドタと大きな足音を立てて走ってきたのが分かって、
ふわふわと浮いていた気持ちが戻ってきた。

目を開けたその瞬間、
また再び目の前が真っ暗になって
Aに抱き締められてるのが分かった。

ソファで寝ていた俺の上に跨って
ギュウギュウと痛いほど抱き締めてくれて、
俺は胸が苦しくなるくらい好きが募った。


ぐすぐす、と鼻を啜っているAの頭を
ポンポンと優しく撫でながら落ち着かせた。
まぁそんな俺も少し涙ぐんでるけど。

久し振りに抱き締めた、俺より小さい身体を
確かめるように強く抱き締め返して
Aの存在を確かめるように、強く抱き締めた。




翔「…ただいま、A」


『〜っ遅いよ、ばかぁ、』


翔「ふは、ごめんな、笑」


『…ずっと我慢してた、んだよ?だから、…ん、』


翔「俺のが我慢してたわ、…夜ご飯なんか作らんで良いから、Aの事たっぷり補充させて、もう我慢できひん」







俺の下で、泣きながら一生懸命俺の名前を呼ぶ
愛おしくてたまらない彼女を
俺はまた確かめるように彼女の手を握って
何度も何度も名前を呼んだ。

A、と名前を呼ぶと
翔ちゃん、と掠れた声で呼んでくれて。
その度に俺は胸をキュウと締め付けられて
どうしようもなく泣きたくなるんだ。




…なぁ、A。
俺が居なくなったら、どれだけ悲しんでくれるのかな。
俺はAじゃなきゃダメだけど、
Aも同じ気持ちで居てくれてるのかな。



明日、別れを告げてしまう弱い俺を、どうか許して。





ここにいる→←ただ好きなだけ



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まぁむ(プロフ) - わーさん» 素敵なコメントありがとうございます!更新遅くて申し訳ないです( ; ; )これからの二人の未来を見守っていてください♡ (2021年11月1日 15時) (レス) id: c6d2895284 (このIDを非表示/違反報告)
わー - 心がギュッとなります。しょうご君と主ちゃんが幸せになりますように。💖更新楽しみに待っています! (2021年10月29日 9時) (レス) @page18 id: 7104af556d (このIDを非表示/違反報告)
ユウコ(プロフ) - 最高。無理しない程度に頑張ってください。できるのを楽しみに待ってます。読んでって笑う。続きが気になります。 (2021年9月5日 22時) (レス) id: a2651f21f1 (このIDを非表示/違反報告)
まぁむ(プロフ) - ユウコさん» 素敵なコメントありがとうございます。これからも頑張ります! (2021年9月5日 12時) (レス) id: b7e42ff26d (このIDを非表示/違反報告)
ユウコ(プロフ) - 読むの待ってます。できるのを楽しみに待ってます。最高すぎて、ハマってます。 (2021年8月29日 18時) (レス) id: a2651f21f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まぁむ | 作成日時:2021年8月28日 10時

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