女王94 ページ6
男子が片付けや入浴を済ましている間にマネージャーの仕事の最大の山場を迎える。
それは夕食の支度だ。
ぐつぐつと煮込んだカレーはもちろん寸胴鍋で凄まじい量である。
カレーが焦げ付かないように仕切りにぐるぐるとかき混ぜるAの横で、同じく夕食当番かつ彼女の同期である滑津がサラダを盛り付けていく。
舞「Aちゃん、ごめんねカレーかき混ぜるの大変でしょ?代わろうか?」
寸胴で何十人前も作るとそれはもうすごい量で、なおかつどろりととろみのあるカレーの重量感は重みを感じずにはいれなかった。
しかし、Aの心情としては普段マネージャー業を本来なら自分がしないといけない量も負担してくれている彼女へのお返しでもあった為、Aの返答はもちろんノー。
素っ気ない言い方であった。
A「結構よ。人の心配するなら、さっさとサラダ仕上げたらどう?」
滑津が盛り付けるサラダでさえ下ごしらえやドレッシングはAが手早く行なっており、本当に彼女の役割はサラダの盛り付けだけであったのだが、Aはあえてその重箱の隅をつつくような言い方をした。
その言い方や振る舞いが彼女の優しさであり不器用なところだと、清水や谷地から言われていたかつ普段の振る舞いから読み取っていた滑津は、彼女の相変わらずさに思わず吹き出した
A「なっ、何笑ってるのよ!」
舞「あっはは、ふふ、んーん、なんでもない!」
A「なんでもなく笑い出すだなんて気味が悪いじゃない」
舞「ふふ、そーだよね。Aちゃんが可愛いなって思っただけだよ」
思わず吹き出してしまった理由を言うと彼女は大層顔を真っ赤にして反論した
A「な、な、何言ってるの!滑津さん、あなた、」
舞「ね、Aちゃん、私のこと舞って呼んでよ」
戸惑うAを見てまたしても可愛いなぁと情が湧く滑津は畳み掛けるように要求を述べた
今までAに気の知れた同い年の友人はバレー部の田中、西谷、縁ノ下だけであり、
滑津のような同性で同期の友達とファストネームで呼べる仲などいなかった。
故に距離感たるものが掴めなかったが、彼女の本能と目の前の屈託のない笑顔を向ける滑津に彼女が折れた
初めはうっ、と戸惑った彼女も滑津の差し出す手に恐る恐る自分のそれと重ねて呟く
A「...ま、舞」
耳まで赤く染め上げたAをみて滑津が歓喜したのは当然のことであった
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夜月─《 *無人* 》☆(プロフ) - ぼっくん……どんまい。最推しでも、どんまい。笑笑 (2019年10月22日 21時) (レス) id: 7f57af0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
雪雛 - この小説すごい好きです!次の更新楽しみー!がんばってください! (2018年8月11日 1時) (レス) id: 42849da78e (このIDを非表示/違反報告)
葉山サン(プロフ) - こんなに続きが気になった小説は初めてです!文も細かく書かれてるし主人公やキャラや達の性格も全くぶれてない‥更新頑張ってください!応援してます! (2018年6月15日 12時) (レス) id: 93236b935c (このIDを非表示/違反報告)
すず - この話大好きです! (2018年6月1日 21時) (レス) id: e6917f59b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪乃
作成日時:2018年4月7日 22時