ゾロサン短編集！ (ページ1)

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バレンタインゾロサンページ1

「はい、これ、お前らのな。んナぁミすわぁん！ロービンちゅわぁん！お二人には、スペシャルチョコケーキを」

目前にどんと並べられた茶色い山。喜んでいるのは、、俺を除く全員だ。「甘ェェ！！」だの「うめェェ！！」だのといった言葉が飛び交う中、俺はただ一人、呆然とフォークを握りしめていた。

「オイマリモ、食わねェのか……ああそうか、可愛いマリモちゃんは、甘いのが嫌いでしたねー！」

…………怒る気にもなれない。

「……………」

「我慢しろ。ここにゃあ甘いもン嫌いなん、お前しかいねェんだからよォ」

「……………」

「サンジ、ごちそーさまぁ！！」

気付けば、目前のチョコの山は消え失せ、代わりに球状になった○○○、ウソップ、チョッパーが。そして巨大な皿は、残りの野郎共の手によって運ばれた。

俺だけ何も食うことができないのでは、気が済まない。

「オイオイ、ぶすっとすんなよ。ホラ、酒やるから」

そう言って渡された酒は、あまり上等ではなかった。だが、またキッチンへ貰いに行けばよいのだ。

「じゃ」

そう言って、展望室に行く。普段のように、一流の医者が作成したトレーニングメニューの書かれた紙を取り出し、早速取り掛かる。

数十分後、酒は当然のように空になった。気晴らしついでにと、キッチンへ酒をもらいに行く。

「おいコック、酒」

だが、キッチンには、誰もいない。そして、冷蔵庫には、でかでかと張り紙があった。

”神聖なキッチンに勝手に入るなバカ野郎。これ持って水ン中帰れ、水生植物。”

見抜かれていた。だが、置かれていた酒は、イーストブルー産の貴重＆上等な酒。素っ気無い態度の手紙につけた酒としては、上等すぎる。だが、そんなことはどうでもよく、酒を手にとって、鼻歌交じりで展望室へ帰った。

……………だが、そこにいたのは、スーツのベストを脱ぎ、シャツの第一、二ボタンをはずして、備え付けの長ソファに横たわっている、サンジだった。そしてその傍らには、小さな箱が。

「……！？コ、コック？？」

「バーカ、今日はバレンタインだろ？…つーことで、甘いのと苦いの、どっちから食う？」

そう言って、サンジは箱に手をかけ、蓋を開けた。

「これ、俺様特製の、ビターチョコ。酒の風味を強くして、お前に合うように作ったんだ」

「どっちも頂くが、まずは。そのあと、酒と一緒に、いや、お前と一緒にそれは味わわせて貰う」