57･近づく距離 ページ22
ローsideー
『どうして貴方はファミリーにいたの？』
と聞かれた。過去の細かいところまでは見えないようだ。
俺は、Aの言葉の礼だと言って話始めた。
故郷の事
白鉛病のこと
故郷と家族、仲間全て失ったこと
ドンキホーテファミリーのこと
コラさんとの事
俺の海賊団を持つまでの話全て。
こんな事人に話す日が来るなんて思いもしなかった。
『一生懸命に生きてきたのね。
今のロー君を見たら、皆そう言ってくれるはずよ。
ロー君、世間ではあんまり良いようには言われてないけど、一緒にいてそんな風に思う節がない。
ロー君の仲間が、ルフィー君達があなたの事を大事に思ってる気持ち、解るわ。
みんなのため、コラソンが生かした命のためにももう前を向いて歩いて。』
L｢あぁ。もう過去に固執しねェ。｣
『そっか。良かった！』
『ねぇ、ロー君がいろいろ教えてくれたから、私も話すよ。』
Aも俺がしたように過去の事を話した。
こいつはちゃんと前を向いて歩いている。
生きるための覚悟もできたヤツだ。
じゃぁ、
L｢Aの顔を曇らせてるのは、能力か？｣
核心があった。
Aの瞳孔が開いた。
間違いねェだろう。
L｢あの夜言ったよな？"最近"人の気の向いどころが解るようになったと。
お前は、
生まれてからか、能力を鍛えだした頃からか、生まれもった能力がずっと成長してきてるんじゃねェのか？｣
Aの体に力が入ってきた。
少し体が震えている。
L｢そして成長していく能力に心がいつも追い付いてないんじゃねェのか？
それで、見たくねェ物も、触れたくねェ事もコントロールできず全部入ってくるんじゃねェのか？｣
『どうして....どうして？』
ワナワナ震えだしたその肩を切断されてない方の腕で抱いた。
L｢先天性の能力は、本人が成長したり、身体の鍛え方次第でいくらでも成長するものってあるだろ。
今のお前には何がどこまで見えて、何が聞こえて、何を恐れている？｣
『ロー君に言う必要ないじゃない。』
L｢じゃぁ、この先誰に言うんだ？ずっとそうやって独りで抱え込んで解決したのか？
倒れるまで平静装って我慢して強がって、周りのヤツばっかり気にかけて自分の心は蔑ろ。
俺にそれを解いたのはお前じゃねえのかよ！
誰かに言って、そいつが逃げるのが怖いって言うなら、俺が逃げずに全部受け止めてやる！
最初では受け止めきれねぇ物でも時間をかけてでも受け止める！
もう、お前も自由になりやがれ！｣
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作者名：まりも。 | 作成日時：2018年10月20日 15時
