56･優しさに包まれて ページ21
Asideー
温かい物が目尻を這う感覚で目が覚めた。
ロー君が無表情でこちらを見てる。
『ロー君？もう起きて大丈夫なの？』
内心は温かい物がロー君の指だったということが解ってる。
寝顔をマジマジと見られていた事に、恥ずかしさがあるけど、敢えてポーカーフェイス。
L｢悪ぃ。起こした。｣
『何してるのよ。寝てるけど皆いるよ？』
L｢あぁ゛？お前こそ泣いてたぞ？｣
『うそ！！？』
顔から耳が熱くなる。
あぁ今、私顔真っ赤だ。
ロー君の肩が揺れてる。
『ちょっと、笑わないで！』
L｢悪ぃ。風当たるか？｣
『......？良いけど』
時計を見れば4時を回った頃。皆は流石に寝てる。起こしちゃダメだよね。
ローsideー
キュロスの家を出た。
まだ暗い空の月明かりの下、色とりどりの花が、優しい風に揺れている。
俺たちは家の後ろに回って壁に持たれて座った。
『綺麗だね。流石花の国。風も気持ち良い。』
L｢あぁ。｣
『腕、どう？感覚戻ってきた？』
L｢お陰さまでな。人に手術されたのは初めてだ。やり方が違和感あったがな。｣
『それなら良かった。』
少し沈黙が続く。
Aは優しい目つきで花畑の方を見ている。
L｢なぁ、ここに来る前にAと話した夜、お前が言ったこと覚えてるか？｣
『うん。あのときはごめんなさい。
自分の過去なんて見られたくないものだってあるのに、自然にわかったからって、あんな風に言うべきではなかったと思う。』
L｢いや、俺にとっては有り難かった。｣
Aの目が俺を捉える。
俺は、前を向いたまま話し続けた。
L｢Aが言ったことは本当にそのままで、俺は、コラさんが殺されてからドフラミンゴを倒すことだけに生きてきた。
ずっと一人だけの問題としていたからパンクハザードから今も俺だけで麦わら屋達と行動している。
クルーを巻き込みたくないと考えてデンデン虫さえ持ってこなかった。
本当に死ぬつもりだったのかもな。
でも、あの日Aは死んだら負け、生きるが勝ちと言った。
今まで13年間考えてきた事と全く違うことを言われたよ。
それで、今、結局ドフラミンゴを倒したのは麦わら屋で、自分の手で下すことなく俺は生き延びた。
Aが生きるが勝ちって言わなかったら、今俺は、どんな心境になっていたか解らねェ。
不甲斐なさで行き場がなかったかもな。
だから、有り難いと思っている。｣
『今は"生きる"って思えてる？』
L｢あぁ。ありがとな。｣
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作者名：まりも。 | 作成日時：2018年10月20日 15時
