55･月夜に光る涙 ページ20
ローsideー
ふと目が覚めると、隣でAが寝ているのに気づく。
小さい家で大人数が雑魚寝している状態では仕方ないことだった。
Aは時々しかめっ面してみたり、息が上がったりしているのを見るとあまりいい夢は見ていないと察した。
気になっていたもののひどくうなされるような様子もなく起こすべきか悩んでいた。
月がAの顔を照らしている。
どれくらい眺めていただろうか。
相変わらず同じような表情をして、時々うなされるのを見ていると、一筋の涙が整った頬に流れていく。
胸がくっと締まるような感覚がはしった。
L｢何があった？何故そんな顔をする？｣
目にまだ溜まっている涙を指で拭いた。
俺は、初めてAに会ったときから、ずっと感じている。
よく笑う顔、人を魅了しているその笑顔が、他人を想う故の笑顔であり、心から笑っている感じを見たことがない。
よく強がるし、我慢するし、抱え込む。
本気で笑顔になれたらどんな顔だろうか？
本気で心から笑うその笑顔が見たい。
何がお前に蓋をしている？
何がお前に影を落とす？
故郷か？
生まれもった能力か？
家族か？
気にしていることがあるのか？
何でもいい。
全部取っ払え！
取っ払えねぇなら、全部取ってやる。
ドフラミンゴを倒すためだけに生きてきた俺は
まだ、生きてここにいる。
ドフラミンゴと刺し違えて俺も死ぬと覚悟していたのに、
お前は生きてと言った。
お前は死んだら負けだと言った。
目的のあとなんて考えても見なかった俺には、
本当は道なんてそこで止まってた。
コラさんが、｢アイツは自由だ！｣と言って
俺を命と引き換えに逃がしてくれたが、俺は、自らそれに逆らっていた。
それに気づいたのは、いや、向き合わせたのはお前だ。
今度は俺が日の光を射したい。
好きなんだよ。A
最初に話をしたあの日から。
月夜に照らされたきれいな寝顔を見て思った。
L｢重症だな。柄にもねェ。｣
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作者名：まりも。 | 作成日時：2018年10月20日 15時
