【男主】絡みついて離れない Level2【影山飛雄】

86話 ページ39

『くにみ、ねぇ……』



「ん？知り合いじゃないんだべ？」




『いや、知り合いなんですけど……』









じゃあ、行った方が良いんじゃ、とあたふたし始めるセンパイ。





そうは言われてもねえ。




マネージャーの仕事、まだあるし。




どうせアイツの用事なんて、分かり切っていることだし。




なんとも言えないな。




なんかさー？






目の前のあたふたしているセンパイの方が、百倍、面白そーじゃんか？




皆も、そう思う、よねぇ？








『ねぇ、こ う し せーんぱいっ？』





「っ！？」





まぁ、とりあえず。




センパイの襟首を引っ張り、俺へと体を引き寄せるよね？




で、心持ち姿勢を低くして瞳を潤ませ、上目遣いをかます。




清水センパイに上目遣いされたからさー、やりたかったんだよね。




そして動揺するセンパイを他所に余裕たっぷりに艶っぽい笑みを投げる。





「A、どうした!?」




真っ赤に染まってゆく頬。



かーわい。



その穢れを知らぬような純白の頬が、俺に対しての欲で紅に染まることに興奮する。





『センパイは、俺に国見のところへ行って欲しいんですか……？』




言って欲しい訳がない。




だって国見の瞳が、どろどろの欲に塗れているのは明白だから。




それだから、センパイは焦っているんだろうし。




無自覚なんだろうね、俺に墜ちていること。




「いって、ほしくない、けど…」






分かり切ったことを言わせるなんて、俺も随分人が悪いのかもしれない。





ああ、最初からだったね。




知ってたよ。

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