【HQ】君と徒然なるままに 【川西太一】

運命の ページ47

〜side 川西

太一「一目惚れだったんだよね」

そう言うと君はいつも


『嘘だぁ〜』

って照れたように笑う


太一「俺にとってAは、運命だったの」


桜が咲く道を歩きながら

隣で君が笑う


今日、川西になった彼女と

出会って

恋に落ちて


「高校時代からって凄いよな」
「その人しか知らないってことだろ？もったいなくね？」
「遊んでみたいとかなかったの？お前、モテるだろ」


他の人なんてどうでもいい

俺にはAがいてくれたら、それでいい


太一「Aを知らない時間の方がよっぽど勿体ないよ」



春生まれの俺たちは

互いを見つけて惹かれあった高一の春から10年目に籍をいれた



ー

入学式の日

一瞬で目を奪われた


(可愛い…)


運動部は寮生が多く、入学前から既にコミュニティがあって


可愛い新入生として噂されているあの子の名前を知った



太一「西野 Aちゃんって言うんだって
あんな可愛い子存在すんだなー…」


寮の奴らは「可愛い」とか、「彼氏いんのかな」とか
みんな噂してたけど


何となく、それに入る気分にはなれなくて
だけど自分1人の心には秘めておけなくて


恋愛話とか興味の無さそうな白布に零した


賢「話しかけに行けば？」


太一「無理無理無理
俺、こう見えて繊細なんで」


最初から遠慮なんてなかった白布は
何言ってんだこいつ、とでも言いたげに俺を蔑む



周りにはあんまいなかったタイプだったけど


下世話な話もしないし、詮索もしてこない

いつもストレートに言葉をくれるコイツの傍は居心地が良くて


Aと席順で隣になった時には
本当は心臓がひっくり返りそうだった


(顔に出ないタイプで良かった〜)


賢「いや、話しかけろよ
隣ならいくらでもチャンスあるだろ」


太一「…勝てない勝負はしないので」



賢「あ？」


太一「これで上手く話せなくてドン引きでもされたら俺は生きていけない」



そんな俺に神様が最高のプレゼントをくれた



『川西君、お誕生日なの？』


太一「え？あー、うん」


『そうなんだ！おめでとう！』


新学期が始まったばかりの誕生日
特に1年生の時なんて誰にも知られてないから



祝ってもらえるだなんて思いもしてなくて


それも、気になる子に


俺はついてるんだと思う


勝てない勝負はしたくない


だけど




太一「俺、来年絶対祝うよ」




『ほぼ丸々1年後だよ』



太一「うん、よゆー」



『じゃあ、楽しみに待ってる』


彼女にもっと近付きたい

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