淡雪が溶ける頃3【HQ】/稲荷崎

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「サムのアホ！」

「うっさいわ」


北海道に来てもよく目立つ双子の言い争い


「だから修学旅行中くらい離れてればいいのに」


2日目、自由行動で合流した侑達

「サムー！すなー！！Aちゃーん！」

なんてニコニコしていたかと思えば



『何揉めてるの？』


「ツムが勝手に騒いどるだけや」

「騒いでへんわ！」


「んで、なに？」

「サムがアイス買うてくれへん！」


「…はあ？」
「自分で買うたらええやん」

「木彫りの熊の置物買うたら金なくなってん」

『バカなの？』


「せやからサムに頼んでんのに、こいつも金ないんやって」

「治こそ色々食うてたら金ないやろ」

「ちゃうねん！こいつ、修学旅行前やからって張り切っておかんの手伝いとかしてお駄賃もらっててん！」

せやから俺より金持ってるはずなんやー！と暴れる侑


「へぇ、偉いな治」


「でもまだお金そんな使ってなくない？
食いもんも3人でシェアしてたし」

倫の言葉に私も頷く


『もっと食べると思ってたからちょっとビックリしてるくらいだしね』


「ドーナツばっか食うてるからや
もっと計画的に使わんかい！」

「その言葉そっくりそのままお前に返すわアホツム」


「お前らはなんで顔合わす度にケンカすんねん！」


銀が双子を引き剥がす

「金あってもツムになんか使わんし」

「はん！俺かてお前になんかもう頼まんわ！」


プイッと顔を背けて歩き出す侑


「どこ行くん侑！」

銀がため息をつく


「ケンカすなよ〜」


「俺悪ないやろ」


「侑がつっかかるのなんていつものことやんか
…侑、2日目一緒に回れるのむっちゃ楽しみにしててん」

私たちを見つけた時の侑の嬉しそうな顔が頭に浮かぶ

「1組3人、仲ええやんか
あんな言い方しとるけど侑、ちょっと寂しいんちゃうかな」


・・・


『侑』


「…なに」


『北海道限定だって。一緒に食べない？』

指さすのはアイスのワゴン

「…食うたらええやん」

『一緒に、って言ってるでしょ？』

1人だとお腹壊しちゃうんだよね、と言えば
侑はしぶしぶ頷いた



「うんっま！」

目を輝かせる侑

「さっき見つけたアイス…
あれサムも絶対好きやと思ってん」

『うん』

「あん時俺に買うてたらあいつも食えたのに」


ー

「げ、何アイス食うてんねん」

後から合流した治の手にはさっき侑が言っていたアイス

「なんでチョコちゃうん」

「北海道といえばミルクやろ」

治のアイスも双子で半分こ

結局うちの部はみんな侑に甘い

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