淡雪が溶ける頃3【HQ】/稲荷崎

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私たちは手を止めて顔を見合わせる



「せやな、俺とAは好き好き同士やで」

『ちょっと治』



「なら仲良しさん、やな！」

目を輝かせるあんなちゃん


『…うん、仲良しさん』






その頃男の子達を引き連れた侑は

「ほら、こうバシーン！やバシーン！」


「あちゅむ、すげえええ！」


「せやろー？」



校庭でバレーを始め、いつの間にか輪の中心で大盛り上がり



「Aちゃん帰っちゃ嫌や〜、」

「ぎんくん、また来てな」

「おしゃむくんも」

「りんくん、またあそぶって約束やで」




「あちゅむ、よその子になっても吠えたらあかんで、」

えーん、と泣き出す園児につられて

「俺は犬とちゃう…」

なんて言いつつ瞳をうるませている侑


「あちゅむ、ばれーまたおしえてな！」




「あったりまえや！春高で侑色の金メダル持って帰ってきたるから楽しみに待っとき！」



こうして幼稚園訪問は幕を閉じた





「いつまで泣いてんねん、ツム」


「泣いてへんっ」



「その折り紙のメダルどうすんの？」



「あ？そんなん飾っとくに決まっとるやろが
何言うてんねん角名」



春高頑張って、と用意してくれた手作りのメダル


「Aも楽しそうやったな

ちっちゃい子、好き？」


治に顔を覗き込まれて一瞬固まる


「？」


『あんまり関わる機会が無かったから考えたこと無かったけど、可愛いなって思った』


「やんなぁ〜」






「よっしゃ、そうと決まれば学校行って練習や！」


「は？無理
もう腕パンパン」


「角名、珍しくよう働いとったもんな」





「春高で金メダルとるって約束してもうたし！

手加減してやってたらバレーしたくてうずうずしてきてもうてん！」


「…これだからバレー馬鹿は」


「結局付き合うのが角名のええとこよな！」


「断ったら断ったでそっちのがめんどいからってだけな」




「Aも来るやろ？」


『うん、行く』




「帰りツムの奢りでアイスやって」


「わーい(棒)」


「おいサム！
奢らへんし、喜ぶならもっとちゃんと喜べや角名！」



彼らの声を耳から耳へ流しながら
園長先生の言葉が繰り返される


“治ちゃん、大きくなって…”


“侑も変わらないですよ？(身長)”


“お互いと、ご飯にしか興味なかった治ちゃんが
女の子に気を配れるようになっとるなんて



Aちゃんのこと大切に思っとるんやねえ”


困ってる時、いつも何気なく
サラッと助け舟を出してくれる治


【仲良しさん】か、

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