淡雪が溶ける頃3【HQ】/稲荷崎

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「Aさん、1人でこの量作ってはるんですか？」

1年生は、練習終わりの捕食制度に驚いていた

「Aはおにぎりの女神様やねん」

なんて言いながら2つ目に手を伸ばすのは治


『なにそれ』

「Aのおにぎりの作り方すごいで
効率的でむっちゃはやいし美味いねん」

『毎日この量やってるしね』

「ふっふ
いつもありがとうなー」

治は洗い物や
手が空いている時はおにぎり作りを手伝ってくれる

その代わり、余ったら自分が優先的に貰えるようにと交渉してあるらしい


『飽きないの？』

「何が？」

朝練後のおにぎりも食べている治は

毎日毎日

朝も練習終わりもおにぎりを食べている


捕食は時々保護者会で豪華なものを頂いたりした時を除いて、塩握りか質素なものがほとんどだ

朝は色んな具材を入れるようにはしてるけど

それでも


『こんな毎日おにぎり続きで飽きないの？』

「なんで？
美味いやん」


きょとんとしている治に呆れて笑ってしまう

『ならいいけど』

物々交換は今も続いていて

新商品や、美味しそうなパンを見つけては

「なぁ、1口だけ味見さして？」

なんて都合のいいところが治らしく、憎めない






「ホワイトチョコやって…！そんなん美味いに決まっとるやんか」

「あまそ…。俺こっちがいい」

『…こげキツネ』※架空アニメのゆるキャラ


「「ん？」」

『知らない!?ミスドとコラボするんだ…』

「好きなん？」

『うん！』



「1組、ほんま仲ええな」



ご飯と侑のこと以外では比較的大人しい治と
マイペース現代っ子の倫

そして私

特に誰からともなく、集まっては3人でいることが増えた

緩い空気が居心地がいい


今も、倫のケータイを囲んでミスタードーナツの新商品を眺めながら3人でくっついていた所をアランさんに笑われて


私たちは顔を見合わせた


オフの日はみんなの予定が無ければ5人で遊ぶことがほとんどで

侑や銀がクラスの人たちと遊ぶ時も

私たち3人はいつも一緒


「良かったな、A。治のおかげでポイント一気に貯まるやん」

「クソブタの大食いがこんなとこで役立つとはな」

治は侑の軽口にも聞く耳を持たず両手に持ったドーナツを頬張る


「Aの1口ちょーだい」

『ん』

私のドーナツにかぶりつく治

『私倫のも1口食べてみたい』

「はい

これはこれで美味いっしょ」

『美味しい』


そんな私たちの様子に

「距離感バグっとんな1組」

銀が目を丸くした

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