淡雪が溶ける頃3【HQ】/稲荷崎

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〜You side

「女の子に力仕事させてもうて、堪忍ねえ」


私は一足先にお昼ご飯の準備として
お茶の入ったやかんを運ぶお手伝い

『いえ、全然』

このくらい部活に比べればドンと来いです！


その言葉に園長先生は目を丸くする


『治、変なアテレコやめて』


「バレた？」


手を添えて声真似をする治にため息をつく


『でもほんとに平気だから
治は皆と遊んできて』


あれは私には出来ない、とちびっ子をぶら下げている倫達に目をやると

治は苦笑いをして


「おしゃむーー」


「はいはい、治お兄さん行きますよ〜と」


小さい子たちに手を引かれていった




『すみません、騒がしくて』

「ふふ、幼稚園なんて賑やかでなんぼでしょう」



園長はニッコリと目を細めた

「あの2人もホンマに大きくなって、」


この幼稚園は双子の通っていた園


『図体ばっか大きくなってますけど、中身はあんまり変わってないと思いますよ』


「変わらんねぇ、2人とも」



「おしゃむくんはダンナさんで、うちがおヨメさんな

あちゅむはペットのイヌ」


「なんで俺がペットやねん
せめて息子でええやんか」


「こんな生意気で可愛げ無い息子いらんわ」


「俺かてお前みたいなやつの息子になんかなりたないわ！」


「あちゅむ！はうす！」


「!?」


「ほらツム聞こえへんのか？ハ、ウ、スや」


「…っ、覚えとけよサム！」




相変わらずの小競り合いを繰り広げる宮兄弟



「ふっふ、懐かしくてええわぁ」


・

・

・


「A貸して」

『ん？やるよ』


「あんこちゃんがな、髪お姫様にして欲しいねんて」


『あんこちゃん？』


「、“あんな”」


治の服の裾をつまんで連れられてきた女の子



「おしゃむくんがな、Aちゃんはまほうつかいやからあんなのことお姫様にしてくれるって教えてくれてん、！」


「ほら、あれ可愛かったやん
体育祭んときのあみあみ」


引き継いだやかんの麦茶をコップに注ぎながら治が言う


「おしゃむくん、みて〜」

「おー、可愛くしてもろたん？
ええなあ」

「お姫様みたい？」


「おん、お姫様みたい」


嬉しそうに治に飛びついたあんなちゃん

「Aにありがとう言うた？」

「！
Aちゃん、ありがとぉ」


『いいえ〜』


「さすが器用やな」

『三つ編みくらいなら治もできるよ』


「みたらし？」


『耳どうなってんの？』





「おしゃむくんとAちゃんは好き好き同士なん？」

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