・ ページ27
バスに戻ると
昨年と同じように1席あけた倫が
「A」
と名前を呼んでくれた
『私ここでいいの?』
「1人で広く使いたければ俺治の方行くけど」
『ううん、嬉しい』
「そ、」
クーラーが冷えるから、とジャージをかけてくれる倫は心配性で
『自分のあるし大丈夫だよ』
「Aって実はポンコツじゃん
夏風邪引かれても困るし」
小さい頃から
運動会やテスト
張り切っては、頑張りすぎて知恵熱を出したりするタイプで
そんなこともこの人にはお見通し
「お土産何買ったの?」
『お米ちゃんキーホルダー』
「なにそれ」
少し雑談をした後
「A、眠いでしょ」
『んー、』
「絶対眠いやつだ」
シャッター音に眉を顰めると
倫は少し笑って
「…ウチと白鳥沢がやったらどっちが勝ってたと思う?」
宮兄弟はともかく
倫が自分からバレーの話を振ってくるのは珍しいことで
眠気で働かない頭をなんとか動かすと
『ウチが、勝つでしょ?』
その言葉に細い目が少し見開かれた
「Aもさ、春高で優勝したいって思う?」
そんなの、
『思ってない人なんて、いるの?』
当たり前なのに
春高は、【高校バレー】の夢で
それが
連れて行ってくれるのはみんなで
プレーをするのは選手だから
そんなおこがましいこと、普段ならきっと言わなかった
眠くて鈍った思考のせいか
侑の真っ直ぐに当てられたせいか
“結果”は副産物だと言った彼を
もう一度笑わせたいと思ってしまったんだ
あなたの積み重ねてきた“継続”が
あなたのつくった“信頼”が
“結果”として
現れた時
彼はまた、泣くのだろうか
いや、違うな
(証明してあげたいんだ…
あなたの信じてきたものは間違いじゃないって)
例え結果が出なくても彼は自分の選択を間違いだとは思わないだろう
だけど
(報われて欲しいと思うのは、私のエゴなのかもしれない、)
複雑な思考と裏腹に
ゆっくりと下がる瞼を許して
私は眠りについた
ー
「侑、まだ元気ないんか?」
「なんで?」
「いやに大人しいやんか」
心配そうに眉を下げる銀島に
侑はなんでもないことのように返す
「当たり前やろ
Aちゃん寝とるやん」
298人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りな∞(プロフ) - あめみやさん» おはよう靴下は宮城と1部東北?地方特有らしいです😳穴あき靴下って言うより可愛いですよね💓 (3月4日 18時) (レス) id: 77d3b1abb5 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - おはよう靴下ってもしかして全国共通じゃないんですか……? (3月4日 11時) (レス) @page32 id: c8e075c880 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りな∞ | 作成日時:2023年12月13日 13時