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「Aちゃん、どしたん?」

ケータイに目を落としていた私に侑が声をかけた

『ううん、別に』


«けーたいをかいました。»


すっとんきょんなメールが届いたのは、春休み中のことだった


そして今日
誰だか分からなくて放置していたアドレスからもう一度連絡が届き

«からすのこうこうにはいった。
バレーぶにはいる»


まさかと思い返事を出した

«飛雄?»


«おう»


遠く離れた宮城の地で
私が傷つけて、置いてきた幼なじみから


差出人もない、平仮名ばかりのメールが届くようになった

(…飛雄は白鳥沢に入ると思ってた)


北一は全国に行けてないし、推薦が貰えなければ文武両道で名門と謳われる白鳥沢は

一般入試じゃ飛雄には難しいだろう

飛雄のおじいちゃんの母校であり
県内最強の高校

四強に入る青葉城西でもなく

『烏野高校って知ってる?』

「どこそれ?」

強いものにしか興味のない侑が知らないのは当然として、
他の3人もピンと来てなさそうな顔をしていたが

「あれちゃう?小さな巨人おったとこ」

『小さな巨人?』

治の言葉に、侑も声を上げた

「昔春高で見たことあるわ!
ちっこいのにたっかいジャンプで空中戦無双しとったやつ!」



「落ちた強豪、飛べないカラス」

倫がスマホを片手に呟く

「昔は強かったみたいだけどここんとこ消えかけてるみたいだね」


落ちた強豪

名の廃れていく学校が

崩れ落ちていく、王冠を被った飛雄と重なってゾクリとした



飛雄が烏野に行ったことも驚いたけれど

何より1番は


(なんで私に連絡してきたの、)

ほぼ1年間

なんの便りもなかった

飛雄がケータイを持っていなかったのもあるけど


昔、私の連絡先を渡してはあったけど


ずっと持ってたの?

それで、私に連絡をしてきたの?


あんな別れ方をしたのに




飛雄は口下手だったけど

表情には出るタイプだったから分かりやすかった

表面で笑顔を作りながら、何を考えているか分からない人達よりよっぽど付き合いやすい


だけど、時々

「及川さん、なんで怒ってたんだ?俺は何かしたか?」

飛雄の天然なところが

邪気のない素直で
バレーをただ愛していることで先を進む天才なところが

恐ろしく、恨めしかった

『飛雄は悪くないかもね』

「?」

『でも私は及川さんの気持ち分かるよ』



「A、眉間にシワよってんで」

治が口元にポッキーを押し付けて

「美味いから、食うてみ」


されるがままに頬張ると、口に苺の甘酸っぱさが広がった

・→



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りな∞(プロフ) - あめみやさん» おはよう靴下は宮城と1部東北?地方特有らしいです😳穴あき靴下って言うより可愛いですよね💓 (3月4日 18時) (レス) id: 77d3b1abb5 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - おはよう靴下ってもしかして全国共通じゃないんですか……? (3月4日 11時) (レス) @page32 id: c8e075c880 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年12月13日 13時

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