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「もうすぐ春が来るなぁ」
北さんの言葉から数日
桜や梅
春の花が開き始める
授業最後の日、クラスで集合写真を撮った
侑が倫と私の腕を引いて真ん中に集まったバレー部3人
『はい、侑の分』
「おー、ありがとう」
写真を受け取った侑は、少し笑う
『?』
「あー、このクラスももう終いか」
「侑、ほとんど俺らとおったんやからクラスあんま関係ないやん」
「それはそうなんやけど〜」
なんて、大事そうに写真をしまいながら
「1年間前後ありがとうな、Aちゃん」
『なに、改まって』
「たまにええ事言うた時くらい素直に受け取ってや」
『…こちらこそありがとう?』
侑はふっふと笑いながら頷く
『でも来年も同じクラスだったら多分前後だと思うけど』
「それええなぁ」
『もう机蹴らないでね』
「あん時はすんませんした」
入学したての私は
こんなふうに侑と笑って話せるようになるなんて思ってもみなかった
『侑』
「んー?」
『こちらこそ、ありがとうね』
きょとんと目を丸めた侑は、返事の代わりに目を細めて笑った。
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「よぉ、1年間よろしゅうな」
『同じ顔があるからクラス替えした気がしない』
「パッと見メンツ変わらないからね」
新学年
2年1組には
私と倫、そして
「全然ちゃうやろ」
宮治
「2人は2年連続なんやな」
「だね」
『うん』
「ほんで2組はツムと銀か」
「銀、終わったな」
ー
1年生最後の集会
『たってるよ』
「…は?」
集会で集まり、みんながノロノロと整列する
あくびをしている侑に小声で伝えると
侑は目をガン開きで私を見た
「は?たってへんわ」
『いや、たってるって。恥ずかしいよ』
「おま!ちょ!でかい声で言うなて
たってへん言うとるやろがい!」
『声でかいの侑だよ』
「ちゅうかお前、嫁入り前の娘が…っ」
話の通じない侑
仕方なく襟を直してやる
『襟、たってるってば』
「は…、」
ポカンとしている侑は
顔を真っ赤にして
「ま、紛らわしいんじゃボケ!
この能面!すけべ!アホ!ハレンチ娘!」
『はぁ?』
「どしたの?侑」
『襟直してあげたらこれ』
「は?何してんの」
「うるさい!散れ!お前ら」
その後察した倫は治や銀に耳打ちし、3人で大爆笑
後で北さんに怒られ
部内でしばらくいじられ続けたそう
『侑、なんで笑われてるの?』
「それはな、」
「言うな!アホサム!」
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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時