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ページ42

「ツムが100%決まるかなんて分からんやろ」

「俺は決める!」

「知らんわ、そんなん」

「お前が俺にトス上げとったら勝てたかもしれないのに知らんってなんやねん!」


治の胸ぐらに掴みかかる侑を引き剥がしたのは

主将だった


「整列や。並べ、2人とも」

治は呆れたように整列に向かう


拳を震わす侑の背中を、主将が叩いた


「治は、あいつが最後の試合になるかもしれないと思ったからアイツにあげたんやと思う」

「…そんなん綺麗事やないですか
試合になったら先輩も後輩も関係ない

稲荷崎は勝つために最善尽くせんようなそんな生ぬるいチームやない!」


「せやな
俺もそう思うし、侑の気持ちもわかる」


「…っ」


「でもな、3年の一員として
あん時、あいつにトスを上げてくれてありがとうって気持ちがあんのも事実やねん」


主将は、笑っているのに泣いていて


侑は少し驚いたように目を丸めた


「俺があそこで決めてこの試合に勝ってたら

次もあった

準決勝の舞台で、点決めるチャンスやってあったかもしれないし


それに、3年生からしたら!最後に優勝出来る方が…」


「侑」

「!」

訴え掛けようとする侑の言葉を遮って


「お前にも、いつかきっとわかる日がくる」

主将はもう一度侑の肩を叩いて整列に向かった


頭を下げる選手たちに、会場から大きな拍手が送られた


「ホンマにごめん、最後決められへんくて…っ」


「あそこで決めたらヒーローやったのになぁ」

「お前らしいわ笑」


3年生が自然に集まって

そこに皆が加わっていって


「侑。ごめんな」


輪の中に入らず、1人でぽつんと立っていた侑に声を掛けたのは


「俺が決めてたら勝ててたかもしらんのに」

本人を前に流石の侑も噛み付くことは出来なかったのか


「…いえ」

と小さく言葉を漏らすだけだった


「侑はまだ1年やろ?
来年、再来年ってもっと上手くなって、大きくなって


俺らの見れなかった頂きの景色、連れてってや」


「…」

「俺らだけじゃたどり着けんかった所まで連れて来てくれてありがとうな」


先輩の言葉に侑は納得いってなさそうに


「…1年目とか関係ないです

1位以外はみんな負けやし
俺は妥協なんてしたくない、です」


「ふは!うん、せやな」

「!?」

思いっきり笑いだした先輩に侑はたじろいて

「なんやろな、侑達見とると沸き立つねん

俺、ここで終わりたくない
欲を言えば、俺の1点でって

おごりが出たわ」

先輩は
すまんな、と侑の頭を小突いた

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時

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