検索窓
今日:138 hit、昨日:165 hit、合計:120,457 hit

ページ5

〜side Atsumu

最近、Aちゃんの機嫌がいい

前は能面みたいやった仏頂面も

時々ふわりと見せる笑顔は


(美人やから黙って真顔やとちょっときつめに見えるだけやねんな…)

普通の女の子で、

どっちかって言えば

(可愛らしい、方やと思う)



夏休み中

入部した時からほとんど弱みを見せることのなかった彼女に違和感を感じた

怒ってるとか、元気がないとか

言葉で言い表すのは難しいけど

いつもと、なんか違くて


サムや角名、銀はそんな彼女を元気づけようとしていたけど


散々冷たく突き放して
意地悪ばっか言うてきた俺に

どうしたん?なんて聞けるわけないし


俺らの前で平気な顔をしとっただけで、ほんまは


“あの日、泣いとったもんな”

“Aは

皆が思ってるほど強くないよ”

サムと角名の言葉を思い出して


(なんで俺がマネのこと気にかけたらなあかんねん!)

って思おうとしてんのに

仕事にミスも隙もないのに

時々、ぼうっと体育館を見つめる目が泣きそうに見えて

(…俺のせい、か?)

後味が悪かった





「ツム、Aはツムのこと嫌ってへんで」

「…は。だからなんやねん」

「お前もほんまに素直やないな」

飯をバクバクと口に運びながらサムが言う

「ちゃんと感謝せえよ」

「…分かっとるわ」

目をそらす俺をみて、サムはそれ以上何も言わんかった




「で、侑はどうする?A呼ぶけど」

午前練の日、近くで開催される大きな花火大会



「行く」


思わず飛び出した言葉に3人は驚いていたが

(あれ?…俺、なんで。)

驚いたんは自分自身も例外ではなく


彼女の浴衣について話に話を咲かせるサムと銀の会話には参加せず


(浴衣…着てくる__)


『ごめん、お待たせ』


わけないよな



俺が来るって言っても、彼女はYesと言うやろうか


昼飯食う時も

腫れもんに触るみたいに

俺以外と会話をしていても、いつの間にかどこかへ行ってしまう


(別におったってええのに)

もうどっか行けなんて言わんのに



俺が自分でしたことやのに

そう、望んでたはずやのに


【ごめん】

この一言が言えれば、何かを変えられるかもしれへんのに


「A、ここ座りたいからつめて」

彼女の隣に潜り込むサムに

(あ、…とられた)


避ける事も突き放すことも簡単やったんに


近づくことは凄く難しくて


出先でまで雑用せんでええのにゴミをまとめたあいつが1人で人混みに消えていくのを


「便所!」

と誤魔化して追いかけた

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
279人がお気に入り
設定タグ:北信介 , 宮侑 , 宮治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。