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侑が復帰して部内はいつもの賑やかさを取り戻し
「侑、もっと腕鈍っとるかと思ったわ」
「バレーバカやし、毎日ボール触っとったんやろ」
「それもそうやな」
キレキレのトスでセットする侑を眺めながら
「俺、ちょっとだけあいつのこと恐いわ」
ブルリと体を震わす赤木さんに
「俺なんかそんなんガキの頃から感じとるわ」
アランさんも笑い返した
そして迎えた定期テスト
「随分余裕そうだね、侑」
「当たり前やん!」
倫の言葉に侑は微笑む
「やって、今日のテストって四択やろ?4分の1は当たんねんで?圧勝やん」
『4分の3は外れるんだよ』
「…!?」
『そんな今知りましたみたいな顔されても』
「ま、こんなこともあろうかと最終兵器も用意してきてん」
「最終兵器?」
「これや」
侑がドヤ顔で取り出したのは
鉛筆
「これに1から4までの番号をふって…、つ」
急に真っ青になる侑
「どしたの?」
「…あかん、間違えて六角鉛筆持ってきてもうた!!」
「『しょうもな』」
そして問題配布時
「おい、宮〜
なんか書き込んである鉛筆はカンニング扱いになるから没収な」
「は!?そんなん聞いてへん!」
「常識やろがい」
「ちょ!俺それ持ってかれたら書くもんないて!」
侑は無事に六角鉛筆を没収され
「…書くもん貸してクダサイ」
私のごく普通のシャーペンでテストに挑んだ
・・・
「ツムほんまにアホやな」
「お前かて同じDNAやろが!」
「双子。騒いどるっちゅーことはさぞ出来が良かったんやろな?」
「キ、キタサン…」
「大事な春高本戦前にまさかまた離脱なんてあるわけないよな?」
「はいぃ!」
「ほんならええわ
じゃれてないではよアップしろ」
「「はい!」」
「クセ者揃いの1年まとめられるんは北くらいやろな」
『私もそう思います』
「あ、あの子」
「確かお母さんが__」
視線や噂が全く怖くないと言えば嘘になる
でも
「もうすぐクリスマスやんか!どうする?」
「角名ん家でええんちゃう」
「やだよ。お前ら汚して片付けないじゃん」
「チキンは絶対な」
「ケーキはチョコ?ショート?」
「チョコ」
「ショート」
「アホか。クリスマスと言えば切り株のブッシュドノエルやろうがポンコツム」
「何言うてんねん。サンタさんのったショートケーキに決まっとるやろがくそサム」
「何回喧嘩すんねんお前ら!」
「Aは?どっちがいい?」
『私は…』
彼らと過ごせる冬も、好きになれそうだ
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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時