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ページ32

「お前の顔みて飯食うたら不味なるからや
察してくれへん?」


いつもなら掴みかかる治が

「お前が勝手にほっつき歩くとみんなの飯が不味なんねん。
大人しく座っとけ」

「…なんやそれ」

ふてぶてしく

でも、治の言う通り座り直す侑

「侑、やっと明日から参加か」

「おん」

「腕鈍って下手くそなトスあげよったら俺らから追放したるからな」


治の言葉に

「望むところや」


侑は目をギラつかせる


「それより侑はこの後の方が心配やろ」

銀の言葉に倫が尋ねる

「なんかあんの?」

「放課後北さんと一緒に先生のとこ行って、OK出たら明日から復帰なんやって」

侑はこれから怒られる子供みたいに居心地の悪そうな顔をして

『……』

「そんな顔せんでも明日から嫌ってほど一緒やで」

「てか、別にクラスも一緒で毎日顔合わせてるしね」


治、倫の軽口に2人を睨みつけながら

「お前らはもっと俺のありがたみを思い知れ!」

と噛み付いたが


『…それでも、部活に侑がいないのは寂しい』

今度は目を丸くしてそっぽを向いた


「照れてるやん」

「うっさい」



『侑』

「ん」

『早く戻ってきてね』

「…やから、明日戻るっちゅーの」



「同じ顔おるのに侑がおる方がええんや?」


『だって侑と治は違う人間でしょ』

「…せやな。俺はこんな人でなしちゃうからな」

「なんやとサム!俺かてこんなクソ豚ちゃうわ」

「せっかくええ雰囲気で終わろうとしとったのに喧嘩すなや双子ぉ!」


「しんみりしてるのとかコイツららしくないでしょ」



・・・

部活中

遅れてやってきた北さんの隣には

『北さん!侑!』

「お!侑!」
「久しぶりやな!」
「どうやった?」

バツが悪そうに首に手をあてている侑はみんなに囲まれて

『侑…、』

「明日から侑くん完全復活」

ピースをしてニンマリと笑う


『おかえり、侑』

「復帰は明日や。
とりあえず監督とコーチに挨拶してき」

「うっす」


北さん言葉に背筋を伸ばして返事をすると、侑は走って監督達の方へ向かいへこへこと頭を下げている



「嬉しそうやな」

『そう見えますか?』

「侑がおらんとみんな本調子やないしな」

北さんは細めた目で侑を見守りながら

「良かったな」

と笑う


多分、この言葉には色んな意味が込められていて


「明日の朝練寝坊したら許さんからな
はよ帰って寝ろ」

「う、うす!」

またすぐにスンとしてしまう北さんに侑は震えながら帰っていく


帰ってくる

侑が、帰ってくる

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時

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