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いつもは先に教室に入っていく治と銀が

当たり前のように私達の教室に入っていく


右、左、前を固めて

『治。睨まないの』

双子は背も高く、強い感じで人目を惹き付けるオーラがある

侑もキレると怖いけど

治は双子の兄弟に比べれば大人しく

何を考えているか分からないけれど温厚な印象をもたれがちで

それ故に

機嫌が悪いと


(侑より怖いんだよな…)

『侑、寝てたの?』

机に伏せていた侑は目を擦りながら


「んー今起きた」

と目を細める

寝起きだからなのか

どこか元気がない侑は


私に“ごめん”と繰り返した

『何が?』

と聞いても謝るだけで

『寝ぼけてるの?』

私の言葉にも曖昧な顔をするだけだった



そこからは

ブランケット貸せだの
小テストの勉強教えろ、だの

理由をつけては彼らは私の傍を離れず


全部優しさだってこと

ちゃんと分かってる



『…治、これ本気で解いたの?』

「俺はいつだって本気や」

『だとしたらその方が問題だけどね』


生物の小テスト

細胞のイラストがあってそれぞれ名称を答えるという簡単な問題


解答は
a_核
b_細胞質
c_細胞膜


治の答案用紙には

a_うめぼし
b_ご飯
c_弁当箱


『なんで??』

「この小テスト昼飯前やったんよな、確か」

『関係ないです』


「治、おかずなくてもええタイプ?」

「そやな。白米美味いし梅干しあれば何杯でも…」

『銀、脱線させるのやめて』


彼らの囲いのせいか、時が経って噂への興味が薄れたのか


少しづつ平穏な日常が戻ってくる


『侑って今どうしてるの?』

「中学いったり、近くの市民体育館行ったりしてるみたいやけど」


侑のいない帰り道
治は肉まんにかぶりつきながら言った

『そっか…』

「ツムは、自分1人でバレー出来る気になっとるとこあるからいい薬になったんちゃう

バレーは6人。
どんなに技術を磨いても1人じゃ出来ひんって」

『…』

「やからAは気にせんとき」

【ツムは大丈夫や】

そう笑った治が



次の日、双子揃って顔に絆創膏

『…何があったの』

「「コケた」」

「んなわけないやろ!
よりにもよって部停中に何してんねん!」

「兄弟のじゃれ合いなんて喧嘩に入らんやろ。ノーカンや」

「俺はお前のこと許してへんけどな」

『なんで喧嘩したの?』

「どうせ侑が治のプリンでも食ったんじゃないの」

倫の言葉に、治は眉をひそめたままだった



「ツムどこ行くん」

昼休み

お弁当を持って席をたとうとした侑を治が引き止めた

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時

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