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〜side Atsumu
「Aは?」
「保健室で寝てる」
お通夜のような空気が流れて
「あれ、ほんまなんかな…
Aのおかんがってやつ…」
「それ知って何になんねん
どっちやろうがあいつ自身は変わらんやろ」
「せ、せやな。すまん」
「銀に当たってもしゃーないやろ」
サムの言葉に目をそらす
「Aがさ、謝るんだよ
バレー部に迷惑かけたらどうしようって」
角名の声は震えとって
「こんな時くらい俺らの事じゃなくて自分のこと考えるべきなのにさ」
怒りで目の前が真っ暗になった
自分のことなんて、何言われても
雑魚がほざいとるって気にもならなかったのに
「男好きは遺伝なんとちゃう?」
「自分は硬派です、みたいな顔して」
どこもかしこも汚い話ばかり
「おい。その汚い喉切り裂いたろか」
湧いてくる害虫共
「なぁ、宮!実際南ってどうなん?
もう試した?」
「バレー部やり放ってほんま?」
「無愛想やけど、顔整っとるしあーゆー奴ほど泣かせたら興奮し__」
ブツン、何かが切れた音がして
「死ぬか?」
「え?」
「調子のってんとちゃうぞ
あいつはお前みたいなカスが口に出していい名前とちゃうんじゃボケ
次言うたらほんまに殺すぞ」
「な、なんやねん!お前らだけ味しめて…」
「おい、やめとけって…」
「平気やって
口では偉そうなこと言うてるけど、どうせ手ぇ出されへんやろ
強豪バレーボール部様は忙し…」
ー
「ツム、1週間部停やって」
「ほーん」
「ほーん、てお前な…」
「んじゃ俺、帰るわ
部活も出来ひんようやし」
「あいつ、前にAに告って振られとったらしいわ」
「…へえ」
「腹いせやったんかもな」
「興味無いわ、そんなん」
「北さんが先生に話つけてくれたんやで
そうや無かったらお前の部停期間もっと長なっとった」
「…」
「守り方考えたれよ」
「…うっさいわ」
『侑っ』
下駄箱に向かうと聞きなれた声が俺の名前を呼んだ
『池野君殴って部停になったって…』
青ざめた顔で
『自分のこと、悪く言われてたって
手なんか出したりしたことないのに、なんで…っ』
「ムカついたから。そんだけや」
『でも…バレー、』
「1週間部活でーへん位でくたばるような体してへんし
俺が勝手にやった事やからりなちゃんは気にせんで」
そんなこと言ったところで
責任感の強い彼女が自分を責めることなんてわかってんのに
『ごめ、』
ほら、また俺は間違えた
そんな顔させたかったわけやないのに
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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時